裁判員制度:再メール


NHKへの再度のメール:

司法制度改革の動向と意見掲示板に掲載された裁判員制度に対する僕の意見を提示する。

2003年10月6日裁判員制度に反対する

政府は来年度に裁判員制度を発足させるべく、検討を重ねているそうだ。讀賣新聞の世論調査が発表されたが、国民の半数が賛成していた。どの程度の情報を開示して、調査をしたかは明らかではないが、政府にとっては、都合の良い結果だったのではないだろうか。しかし、その制度に関しての問題点を明らかにしたのであろうか?マスコミはその制度の主旨についてはおおむね賛成しているので、おそらく法律は成立するであろう。
でも、僕はこの制度に反対する。国民を裁判に参加させるとは、裁判官の怠慢ではないか。裁判の迅速化が必要なら、裁判官の定員を増やせばいいでないか。僕は医学部を選び、法学部を選ばなかったのは、人を裁くのがこわかったし、議論で悪人を無罪であるとする弁護士の活動も疑問に思っていた。それより、直接、人助けになる医師がいいのではないかと思った。また、戦乱の時代でも、必要とされる職業であり、食いはぐれはないと思ったからである。
政府がもくろんでいる裁判員制度の問題点は、無作為に選ばれた国民は、例外を除いてその任務を拒否できないことである。まるで、徴兵制と同じではないか!日当はもらえるであろうが、裁判官と同じ割合で日当が出るのであれば、公平であるが、絶対にそういうことにはならないであろう。国民の義務として裁判員にならなければならないというのは非常に恐ろしいことだ。
また、社会経験豊富な国民と、弁護士会のHPには書いてあるが、国民の知的、情的背景は多様であり、自分自身を考えても社会経験豊富とはまったく言えない。第一線で活躍している社会人が自分の仕事をさぼって、裁判員として活動することは、本業での仕事を台無しにする可能性が高い。例外もあるだろうが、大多数の国民にとっては、ノーであると確信している。しかし、新聞をはじめとするマスコミは条件つき賛成なので、いろいろな情報操作をするであろうと思う。
9月10日 讀賣新聞:園部逸夫氏の論点 国民主役の裁判員制度に
これに対する反論:
“裁判官と健全な社会常識を反映できる国民と一緒に” (園部氏):自分を省みるに、健全な社会常識を持っているとは思えない。国民のレベルを理想化していて、現実を反映していない。
“専門家の裁判官に任せておけばいいではないか” (園部氏)という声に対して、彼は“そのようなお上頼みの意識と風潮が、この国のエネルギーや創造性を衰えさせてきたのではないか“(園部氏):彼の後半の主張はその根拠を示していない、まったく独断的の意見である。
“国民が主役になれるよう、柔軟で創造的な発想がなによりも大切である”:
(園部氏)裁判員になることが、国民が主役になることであるということがわからない。僕自身は裁判員をやりたくない。殺人事件で殺された人の証拠写真などを見たくもない。首を切断された頭部を見たいと思うだろうか?僕は医学生の時に法医学の講義に最初だけ出席し、その後、講義の出席をさぼったのは、腐乱死体の写真のスライドを見て、気持ちが悪かったからである。先日、NHKの深夜便で法案の作成の準備をしている弁護士がこともなげに、死体の写真も見る必要があると述べていた。人の生死に関わることに関与せざるを得なくなる素人裁判員は精神的トラウマを持つ可能性が高い。結局、お上の立場からの改革であって、一般人の立場からの改革ではないのだ。
“裁判には社会の多様な価値観を採り入れることが重要である。年齢、性別、職業、教育など、社会各層の多様な意見が反映されなければならない” (園部氏):健全な社会常識と多様な価値観、多様な意見は対立することが多いのではないか。裁判員は六人以上が必要というが、多様な階層の意見を反映させるためには、年齢(若年、中年、老年)性別(男、女)、職業(一次、二次、三次産業)教育(低学歴、高学歴)など、一番単純な組み合わせだけで、3X2X3X2=36人が必要である。

2004年3月5日 朝日新聞の私の視点について

先日の朝日新聞の私の視点で裁判員制度がとりあげられていた。5人が意見を述べていたが、裁判員制度の問題点はあるが、原則的に賛成の意見ばかりであり、世論操作を考えさせるような選び方だ。そこで、一般人が気軽に意見を表明できる意見掲示板がないか捜した。そうしたら、発言小町というコーナーがあったので、裁判員制度のトピックをとりあげたら、1日に約20件の意見の投稿があった。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/2004030300005.htm#0012
朝日新聞の私の視点のなかで、田鎖弁護士の次の発言が非常に気になった。
“もちろん、多くの裁判官が死刑の実情を知らないまま割り切って極刑を選択している現状を考えると、裁判員による謙抑的な判断を過度に期待することはできない。”
前半の部分についての記載内容はほんとうなのだろうか?グリーンマイルという映画で主人公のコーフィが電気椅子で処刑される時の場面が想像されたが、裁判官が死刑の実情を知らないなんて、考えられないと思った。医療の世界では自分が受け持った患者さんが亡くなられた時に、遺族にお願いして、病理解剖をお願いすることがある。死刑判決をくだすことのできる裁判官は死刑の現場を経験する実習はないのだろうか?
また、ジョンソン教授が米国の陪審制の実情について、次のように述べていた。
“召喚状が来ても裁判所に出頭しない人が多いし、ちょっとした理由で義務を免除されるのが一般的だ。結局、ほかにすることがない人や社会的地位の低い人が陪審席に座る。そんなことでいいのだろうか。”
僕がひそかに危惧していたことを、この教授は、後半部分ではっきりと指摘していた。

2004年3月31日 裁判員制度は憲法違反ではないのか?

自民党も民主党も賛成している裁判員制度の法律ができれば、裁判員になることが、国民の義務になる。この法律が通れば、次には徴兵制も必要であり、国を守ることは国民の義務であるから、徴兵制の法律を自民党が出すかもしれない。多数決で国会がきめれば、法案は通るであろう。国民は法律ができたから、しかたがないと、あきらめるであろうか?
しかし、裁判員制度は、日本国憲法に違反するものではないか?
第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
少なくとも、僕にとっては、裁判員になることは苦役でしかない。裁判官と同じ席に座り、極刑を言い渡す責任の一端を担うことになることになることもありうる。憲法を知り尽くしていると思われる法律家や弁護士が、この条文をよく理解していないとは思われないのに、どうして、無茶な制度を作ろうとしているか、わからない。
今回の筋弛緩剤殺人事件では、無期懲役が言い渡された。妥当な判決だと、思うが、弁護側はすぐに控訴した。高等裁判所では、裁判員の参加は想定されていない。国民を裁判員として参加させることは、税金の無駄遣いであり、国民の貴重な時間が浪費されてしまう。年間予算は数百億円の出費になるのではないのだろうか?

 2004年12月3日 奈良の小学生殺人事件

 裁判員制度に賛成している為政者や法曹関係者や一般市民は、殺人の被害者の写真を素人裁判員が、どういう気持ちで見るかを想像したことはないのではないか?
奈良の小学生殺人事件を例に考えてみたい。猟奇的に性倒錯的に殺害した犯人が逮捕されたら、裁判になる。もし、裁判員制度が始まっていると、仮定しよう。被害者家族は、裁判にまったくの素人裁判員に自分の娘が無惨に殺害された証拠写真を見せたいと思うだろうか?また、素人裁判員も、むごたらしい証拠写真を見たいと思うだろうか?国民の義務だから、証拠写真を忠実に見るべきだと、法曹関係者は主張するであろう。僕は素人裁判員の大半はPTSDに陥ると想像している。殺害された姿がフラッシュバックして、脳裏に浮かんでくるのではないかと思う。
NHKが来年に裁判員制度のドラマを放映するそうだが、殺人事件の証拠写真を国民に隠さずに見せるのであろうか?本当に議論を喚起するのなら、すべてを見せるべきである。極端なことを言えば、イラクで殺害された被害者の切断された生首を見せることができるのであろうか?
為政者たちは、想像力に欠けていると思われる。しかも、彼らは裁判員にならなくてもよい免除職であり、一般市民の素直な感情など、まったく考えていないのであろう。法曹関係者も免除職であり、同様に、想像力が欠如している。
プロである医療関係者でも、首を切断されかかった被害者を見て、PTSDになったとの報道もある。このような観点からも、裁判員制度をスタートさせるメリットはない。

PS:この番組を見て、世論調査に参加した人の意見が変わったかどうか、是非調べてほしい。また、視聴者の世論調査もやってほしい。生番組でやるべきであり、すぐに視聴者が意見を送れるようにしてほしかった。

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