なだいなだ先生の講演会


 

数年前に多発性硬化症の患者のつどいで、田平武先生と精神科医で作家のなだいなだ先生の特別講演があった。その時のことを再度紹介する。

2002年7月

        田平武先生のお話:心と病気

風邪はウイルスなどが体を攻撃することによりおこるが、リンパ球がウイルスに対して防御する。リンパ球からはインターロイキン1というサイトカインが放出されるが、視床下部の発熱中枢に作用して発熱をおこすように働く。38度台では、ウイルスの増殖も抑えられてしまうので、すぐに解熱剤をたよるのは良くない。40度以上の高熱の場合は例外だが。また、インターロイキン1は眠気をもよおし、安静を保つのに都合がよくなる。
 呼吸法を毎日20分行う。 ゆっくり吸いゆっくりはく、その後は普通の呼吸をくり返す。101歳の現役医師からの伝授だそうだ。
 強いストレスはNK細胞を減少させ、調節性T細胞を減少させるー自己攻撃性のリンパ球が増殖し、多発性硬化症の再発をおこす。
 患者さんに2つのタイプ:くよくよする、前向きに生きて夢中になるものをもっている。後者が病気の再発が少ない。
 アルツハイマー病の老人斑のβアミロイドがワクチンにより除去できる。一部に脳炎があり、治験は中止された。しかし、これは違う方法により可能であり、アルツハイマー病は近いうちに克服できると力強く述べた。
PS:アルツハイマー病が克服されたら、今が隆盛の介護保健サービスの需要が減る可能性がある(乱夢)。健康老人が増え、ボランティアではなく、雇ってくれる会社があれば、彼等も税金をおさめることになり、今の閉塞的状況が少しは良くなるかもしれない。

 

          なだ いなだ先生の講演会

モットー:

難しいことはやさしく

やさしいことは深く

普通のことは面白く語る

チェコの作家のチャペックから学んだ。
園芸家12か月(中公文庫):哲学的な本であるが、一番影響を受けた。

パリのサルペトリエール病院のガルサン教授のもとで神経学を学んだ。彼は飛び抜けてすぐれた教授であり、他の弟子との差は明らかであり、彼を超えることは無理だと思った。診断学の達人であった。多発性硬化症の患者が入院しているシャルコー病棟があった(ドクター乱夢は10数年前にこの病院のこの病棟を見学したことがある)。なだいなだ先生はAndre Thoma(綴りは不正確)に直接指導を受けていた。子供の反射をもっぱら観察していた。

 ある教授に将来のことを相談しにいったら、薮医者になりなさいと言われた。三種類の患者さんがいる。

1。治療せずに放っておくと死んでしまう患者

2。放っておいても死んでしまわないが、なおらない患者

3。放っておいても自然になおっていく患者
 薮医者は第1番目の患者を名医に送ればいい。小説家になりたかったし、勉強もあまりしなかったので、2番目の患者を扱う精神科を選んだ。彼は嘘をつくこともあるそうだと説明した。次の言葉は多分、彼の造語だろう。

ふむふむ療法;患者さんの言葉をふむふむとうなずきながら聞く。ただ聞いているだけでは、おかしく思われるのでときにリズムを変えたり、ふーむとのばしたりする。おうむがえしをするのもよい。

日本で初めてのアルコール中毒患者さんの病棟の担当医師になった。40人が入院したが、多かったので、患者さんが自分からすすんで逃げてもらうために、開放病棟を試みた。しかし、だれも逃げていく患者さんはいなかった。東京からかなり離れていたため、お金がないために脱出しないのではないかと思い、患者さんに1000円を渡した。しかし、だれも逃げようとはしなかった。患者さんにそのわけを聞いたら、退院しても、すぐに入院するはめになるので、入院中はできるだけ優等生でいたいとのことだった。とくに優等生だった患者さんに聞いたら、学校時代は言われたとおりのことをきちんやればよかったが、実際の人生は異なっていた。大海にただひとり放りだされた状態であり、羅針盤がない状態だった。アルコール中毒患者さんの妻の話があったが、現在は夫を許すことはできるが、過去に受けた悲惨な経験は忘れることはできないとのことだった。ずしりと心に応える内容だった。
 患者との談話会で、なだいなだ先生が若い時に書いた青春小説で留学していた時のことを書いた内容だったが、そのなかで、多発性硬化症の患者を自殺させてしまった場面を書いてしまったことを思い出し、反省の弁を述べていた。

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神経内科専門医 neurologist
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