ドクターズルール425ー医師の心得集


 

ドクターズルール425ー医師の心得集(南江堂)

 

1.優れた臨床医は自分が何を知らないかを知っている。

 

(これは初心者にはあてはまらない。知らないことばかりだからだ。しかし、数年間、臨床をやると、天狗になってしまうドクターもいるし、患者を手放さないドクターも見受ける)

 

2.症状のある患者に、「どこも悪いところはありません」と言ってはならない。それは患者を傷つけ侮辱することになる。

 

(言葉使いに注意しないといけない。原因のない病気はないし、原因があるから症状が出現している)

 

3.患者の病気がわからない時には、「あなたの病気についてわかりません」と言わないこと。「あなたの病気について、今のところわかりません」と言いなさい。

 

(今のところと言うところが大事だが、僕はよく現時点ではということが多い)

 

4.医学のスタンダードと見なされている教科書を一冊購入しなさい。最新版が出るたびに購入すること。一生それを続けなさい。

 

(ワシントン・マニュアルはいい本だ。ところで、医学教育出版社から出ている『病態生理できった内科学-Part5-神経疾患』は面白くて分かりやすい本だ。イラストがあり、文章も生きている。追加:この著者は行方不明?とのことで、絶版になったそうだ)

 

5.現在のあらゆる医学的知識をもってしても、わからない患者がいる。

 

(患者はある意味で医師にとっては、生きた教材である。教科書に書かれている症状を患者で発見した時は、新鮮な喜びを感じたものだ)

 

6.時間は最も偉大な診断医である。うまく利用すること。

 

(後から診察した医師の方が診断は容易であることが多い。病気の典型的症状が初期には出現していなくても、途中で出現していることが多いからだ)

 

7.診断のつかない重症患者について、問題を解決できる医師がどこかにいるはずである。その医師を見つけなさい。

 

(サイエンスライターの柳澤桂子さんの長年の悲劇は実力のある医師に遭遇しなかったことによる。実際、診断、病態を推定するのに苦労する場合があり、PubMedという検索エンジンを利用することが多い)

 

8.重症または末期患者では、遠方から来る親戚に気をつけなさい。彼らはしばしばトラブルのもとになる。

 

(このような場合が多い。剖検の承諾を説明する時に剖検に反対するのはほとんど上記の方やほとんど見舞いに来ない方だ。但し、例外もあり。以前、大学に勤務していた時に、ある国立大学の解剖学教授が入院中の母親を見舞われた時、我々に対して低姿勢で丁重な態度をとられたのを見て感動したことがある)

 

9.臨床的証拠がないからといって病気が存在しなという証拠にはならない。

 

10.口頭での症例呈示は五分以内で行うべきである。それ以上かかる場合は、あなた自身、内容がよくわかっていないことを意味する。

 

(ペンシルベニア大学に留学していた時に教授回診を見学させてもらったことがあるが、担当医はカルテを見ずにペラペラと病歴や検査データを説明していた。日本での経験ではカルテを見てデータを説明していることが多い。受け持ち患者のデータぐらいは記憶しておいてほしいものだ)

 

11.診療経験が十年以上になるまで、「わたしの経験では」と言ってはならない。たとえ臨床経験が十年以上であっても、この言葉は使わないにこしたことはない。

 

(これと逆に、臨床経験が十年以下の医師が、「わたしは経験がないので」とか言って質問することがあるが、わざわざそんなことを言わなくても、聴衆は質問者の未熟さを知っているはずだ)

 

12.老人のほとんどは、服用している薬を中止すると体調がよくなる。

 

(ドーパミン受容体をブロックする薬は意外に多く、薬剤性パーキンソン症候群をおこしてしまうことが多い。1985年に福井に来たころは、プリンペラン(メトプロパミド)やドグマチール(スルピリド)によるものが多かった)

 

13.高齢者が急に混迷状態になった時には、感染症を考えること。

 

(肺炎で低酸素、高二酸化炭素血症でCO2ナルコーシスがある。これは頻度が高いので、要注意だ)

 

14.患者を治療するにあたって、あなたの性格は、あらゆる薬や治療法と同じくらい重要である。

 

(プラシーボ効果に影響を与えるということだ)

 

15.経験を積んだナースの観察を尊重せよ。

 

(ベテランナースの存在はありがたいものだ)

 

16. あなたが病院で医師として仕事ができるのは、多くの縁の下の力持ちの人達がいることを忘れないこと。

 

17. あなたが生理学や生化学、解剖学についてのたくさんの知識を持っているからといって、人生や人間について豊富な知識があることを意味するものではない。患者や他の人々から学びなさい。

 

(僕の基礎医学の知識は低いレベルになってきている。逆に後者の知識が増えている昨今であるが、こころもとない)

 

18. すべての医師は薬である。診断時の医師の行動は副作用を起こしうる。効果を持続させることができる。適切な間隔で与えられることがある。そして、なによりもプラセボ効果をもたらすことができる。医師であることの薬理作用を学びなさい。

 

(無愛想ではなく、ある程度、心的距離を保ちつつ、問診をして短時間に診断していかなくてはならない)

 

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marugametorao について

神経内科専門医 neurologist
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ドクターズルール425ー医師の心得集 への1件のフィードバック

  1. より:

    時々拝読しています。大変勉強になります。ありがとうございます。

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