高橋克彦:黄昏綺譚,瀬名秀明, パラサイト・イヴ


本屋へ行って、いつものように新刊書をサーチしていたら、次の本が目にとまった。高橋克彦のファンでもある僕は、帯のメッセージを読んで、すぐに買ってしまった。”この世に霊魂は存在する!”(僕は霊魂が存在していると仮定したほうが、いろいろな不思議な現象が説明できると思っている)

高橋克彦:黄昏綺譚(角川文庫)

今、ざっと目次を見ていて、驚くべきことを発見し、鳥肌がたってしまった。瀬名秀明ファンを自認している僕が、このエッセーを見逃していたとは、お恥ずかしい次第である。

『パラサイト・イヴ』綺譚

「私は角川書店の主催するホラー大賞の選考委員を引き受けていて、その選考会の前夜にリアルな夢を見た。私の自宅にある青年がふらりと遊びにやってきた。名前を名乗ったわけでもないのに、私には彼がだれであるか分かっている。ホラー大賞の最終候補に残っている瀬名秀明君なのである。最終候補作品として私の手元に送られてきているものは全部で五本。それぞれに個性的な作品だったが、その点で私は受賞作を推薦するとしたら瀬名君しかないと決めていた。夢の中の時間は明瞭ではない。しかし、選考会に直前という意識が私にあった。そろそろでかけなければならないと思いながら瀬名君とコーヒーを飲んだり、テレビを見ていた。瀬名君は黄色いブルゾンを着て、なにやら落ちつかない様子だった。選考会がどうなるか内心では気にしているのだろうと察知した。だが、選考会の前に私の判断を口にするわけにはいかない。とうとう家を出る時間が迫った。私はソファから立ち上がると、一緒に腰を浮かせた瀬名君に「君は少しここに残っていなさい。君の人生が変わる一日になるはずだから」と思わず口を滑らせてしまった。瀬名君はきょとんとした。「それ以上は言えないけど、直ぐに戻って嬉しい報告をするよ」さらに重ねて瀬名君を驚かせた。そこで夢は終わった。

 不思議な夢を見たものである。これはひょっとして神のお告げの一種なのだろうか。東京に向かう車中であれこれ考えた。瀬名君の作品は独創的で展開も緻密である。しかし若さゆえの甘さがないでもない。私はこれ一本と決めていても、選考会で紛糾する可能性がある。私には迷いがない以上、断固として見解を力説すべきだと覚悟が定まった。

 選考会がはじまって直ぐに私の意見を求められた。私はこの作品しかないと声高に打ち上げた。が、そんな必要は本当はなかったのである。他の選考委員もおなじ感想を抱いていた。選考会はわずかの時間で終了し『パラサイト・イヴ』への受賞が確定した。その後の会食で私は前夜の夢のことを白状した。瀬名君と一面識もないので、夢の中に現れた瀬名君が本当にそういう顔をしているかも私には分からない。皆は興味を持った、瀬名君が東京の住人だったらその場に招いて確かめることができるのに、あいにくと彼は仙台の住人である。夢の話はそれきりとなった。

 そしてつい先日のこととなる。

 あるパーティーで瀬名君を見掛けた。授賞式で一度会っていたが、ゆっくりと話したことがない。パーティー後の予定は特にないと彼が言ったので、場所を変えて飲むことにした。それに角川書店の編集者も同席した。話はつい選考会のあれこれに及んだ。私は「君の夢を前夜に見たんだよ」と教えた。編集者もそのときに立ち会っていたので即座に頷く。瀬名君は、いったい何時頃に見た夢なのか、としきりに気にしはじめた。恐らく明け方近かったのではないか、と言ったら瀬名君は少し青ざめて

「実をいうと私も選考会の前日に高橋さんの夢を見たんです」と告白した。選考の結果を案じて悩んでいるところに私がなぜだか現れて、にこにこ頷いていたと言うのだ。嘘ではない。同席していた編集者たちは思わず絶句して私と瀬名君を見つめた。選ばれる側の瀬名君が緊張して選考会の夢を見ることは多分に有り得ることだが、どうして私までもがそういう夢を見たのか?

 瀬名君は私の笑顔を夢で見てから安堵して選考会の結果を待てるようになったのだと付け加えた。これを偶然と片付けることは簡単である。だが、当事者である私と瀬名君にすれば、あまりにも不思議な合致だ。世の中にはこんなことが実際に起こるのである。」

 

乱夢:このような話は、以前、医学関係の本でも読んだことがある。僕は夢の中で霊魂が対外離脱をしたのではないかと解釈している。これとよく似た描写が、瀬名氏のBrain Valleyにも出てきていたと思う。皆さんはどういう解釈をしますか?

次の本は、文庫じゃなくて、マガジンハウスから出版された本を持っている。

書斎からの空飛ぶ円盤(93年7月 マガジンハウス 、97年1月 講談社文庫/解説:瀬名秀明)

http://www.atelier-saraki.com/page053.html(高橋克彦、総門谷)

http://www.asahi-net.or.jp/~fx2h-szk/katharine/ (瀬名秀明)

http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/3218/kansou.1.html(講義の感想)

http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/3218/nazo.2.html (Brain Valley)

http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/3218/essay.2.html (Brain Valley)

http://blog.with2.net/link.php/36571

 

 

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