エイズ、留学、フィラデルフィア

           エイズ、留学、フィラデルフィア

2005年4月29日(改定2013年6月17日)

エイズ

エイズでは、CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)が標的となり免疫不全となる。HIVウイルスが病原体であり、HIVは、1983年、フランスのパスツール研究所のリュック・モンタニエらによって、エイズ患者より発見され、LAV(Lymphadenopathy-associated virus)と命名された。また、1984年、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のロバート・ギャロらもHIVを発見し、HTLV-III(Human T-lymphotropic virus type III)と命名した。最初にだれが発見したかが問題となった。どうもGalloがモンタニエの論文の査読者となり、データを手にいれて、しかも彼の血液サンプルを使用したようだ。遺伝子解析でまったく同じウイルスだった。競争をしているグループが同じ雑誌の同一日付の号に同じ発見をしたという論文はときに見られる。独立して同じ結果であったかもしれないが、査読者が自分の研究室で同じ結果を出してしまうこともあるようだ。

僕がペンシルバニア大学に留学したころから、エイズは話題になってきた病気だ。1982年ころよりアメリカで新聞をはじめとするマスコミがこの病気を興味本位に取り上げていた。なぜなら、エイズ患者の大半はホモセクシュアル、麻薬常習者だったからだ。旧約聖書にはソドムの町の神の罰による崩壊が記載されているが、ソドムとは男色の意味であり、肛門性交を想像させた。最初は、冷ややかな目でエイズ患者が見られていたが、ハリウッド・スターのロック・ハドソンがエイズに罹患していることがわかってから、レーガン大統領はエイズ対策の予算を倍増させた。

1970年代のアメリカはヒッピー、フリーセックスなど、アメリカは乱れていた。留学前に、ある週刊誌にニューヨークにはプラトンの館という遊び場があるという記事を読んだことがあり、一度は行ってみたいと思っていた。でも、変な病気は出てきているし、もしエイズ日本第一号になったら恥ずかしいと思ったことや、死すべき病気だったので欲望を自制した。

フィラデルフィアの地元の新聞のPhiladelphia Inquireには、毎日のようにエイズの記事が書かれていた。その時に読んだ記事で今でも覚えているのは、疫学調査でホモの人が1年間に性的関係を持つ人数が5人以下と100人以上では、後者の方がエイズになっていることが多いという統計学的データだった。僕は相手にする男性の数の多さに非常に驚いたが、この時に感染因子があるに違いないと確信した。サンフランシスコにはホモ専用の浴場があり、そこで、ホモだち同士が性的関係を結んでいたそうだ。

日本では血友病患者がアメリカ輸入の凝固製剤により、エイズを発症する事件が起こってしまったが、アメリカでは輸血による感染の比率は高くない。ヘテロからの感染も当然、おこりうるが、バスケットの神様と言われるマジック・ジョンソンが女性との性行為でエイズの感染したことを告白したときは驚きだった。また、バイセクシュアル、いわゆる両刀使いもいて、マラソン選手の有森裕子の旦那がそうだということを知った時も本当に驚いた。

かなり以前の文藝春秋にアメリカ医師会長の講演が掲載されていたが、アメリカでは7000人の医師が感染、そのうち70名が医療事故による感染者で、残りはホモであったと述べていた。ホモの中には知的レベルの高い職業の人も多く、医者や弁護士が多いそうだ。

エイズになりにくい遺伝子というのが発見されたが、コーカシアン人種に多く、エイズウイルスの受容体の遺伝子異常らしい。最近ではウイルスの増殖を抑制する薬物が開発され、治療効果があがっていることは喜ばしい。当初は悲観的な感じを抱いていたが、克服される病気であろう。細胞性免疫不全になるため、神経梅毒、結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎やウイルス感染症のPML(progressive multifocal leukoencephalopathy: papova virusによるオリゴデンドロサイトの感染)や原虫による感染症も見られるようになった。

1983年秋に名大第一内科のセミナーで血液凝固が専門の先生がアメリカ製凝固製剤を使用している血友病患者のヘルパーT細胞の数が国産物と比較検討し、有意に低いことを発表していた。僕は次のような質問を投げかけた。

「アメリカ製凝固製剤に何らかの感染因子が含まれているのではないか?やばくないですか?」演者の答えは忘れてしまったが、エイズのウイルスが見つかった年だった。

ところで、僕は1980年代の後半にエイズウイルスの実験室レベルで感染実験をひそかにやっていた。人の脳アストロサイト、マクロファージ、オリゴデンドロサイトに感染することを見いだしていた。ウイルス専門の基礎の先生にすべての危ない操作はやってもらった。そのころ(1987年)は、まだ、エイズの脳細胞に対する研究は日本ではほとんどやられていなかった。エイズはエイズ・痴呆コンプレックスという病気をおこすが、アメリカでは中年の痴呆患者の原因のトップがエイズだった。

最近、エイズ患者が日本で増加しているが、嘆かわしいことである。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%89%E3%82%BD%E3%83%B3

http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~hoken/Shiori/93AidsGuidebook.htm

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marugametorao について

神経内科専門医 neurologist
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