京極夏彦の”魍魎の匣”, 異常死体の写真


                                                                           京極夏彦の”魍魎の匣”

 大分以前に、京極夏彦の”魍魎の匣”を読んだ。飛ばし読みしたのがいけなかったのかもしれないが、また、最近、老眼が出てきて細かい字が読みづらくなり、寝ながら眼鏡をはずして読んだせいか、印象がよくなかった。それとも、あの”怪”という雑誌でみた彼の顔が、僕の趣味にあわない顔をしていたのが、いけなかったのか。僕は案外、人見知りしやすく、嫌いな顔がある。彼は沢田研二をふっくらさせたような顔だった。

 感想:あまり面白くなかった。何がおもしろいのであろうか。僕は四肢切断などの猟奇的なものは嫌いだ。(なんとかファイルというのが、一時、話題になったが、毛嫌いしていた。僕は江戸川乱歩の異様な官能的な作品は好きなのだが)最初の方で、加菜子の失踪の方法が推測されてしまった。

 医学生の時、法医学の講義を受けたことがあるが、変死体の写真が気持ち悪くて途中で講義に出なくなった。

 ああ、思い出してしまった。僕が何故、猟奇殺人の本が嫌いかを。あれは大学の学部4年生の時だった。名古屋テレビの海外派遣プロジェクトがあり、難関の選考をパスし、無料で夏休み50日間アメリカ一周を行った。その最後の夜はロサンジェルスであった。僕は寝つきが悪かったので、無謀にも夜2時ごろホテルを抜けだして、ダウンタウンを一人で歩いていた。ほとんど人通りがなく、早足で歩いたが、最後だから、ポルノ・ショップに立ち寄った。客は誰もいなかったが、入って雑誌を見て内容を見た。XXXの写真かと思って見たら、なんと死体の写真が載っていた。しかも異常死体である。ぱらぱらと他のページも見たが、気持ち悪くなってきて、すぐにその店を出てホテルに急いで戻った。

 ところで、”魍魎の匣”の中で、ある天才的医師・科学者がでてきた時、あやしい感じがしたが、やはりそうであったが、彼のやり方は狂っていた。こんな人間を登場させるとは安易だなと思ったし、時代設定が第二次世界大戦後の頃なのに、遺伝子操作の話や免疫の話、脳の話、しかも筋無力症がとりあげられていた。間違った記載があり、飛躍した記載もあった。すなわち、単純なミス及び現代に話題になっているテーマを約40年前の事件でのプロットに使っているような荒いやりかただった。人物描写も荒い人間が多く、刑事も好きでない性格だった。

 京極堂は医学に関しての説明はつまらないと述べていた。これが作者の本音だろう。建物自体を人工臓器及び動力源としてのエネルギーや維持費の莫大な費用など、想像力が洗練されていない。マッドサイエンティストの描き方が定型的で気にくわなかった。もう少し、医学の情報収集をしていただきたかった。昔のことなのに、現代の価値基準や知識しかも不確かな情報が語られており、医学医療に対して一般読者は誤解を招くと思う。僕は医者だから、その立場で読んでしまう。

 

 例えば、p600:“筋無力症の件;この病気は運動神経の末端、終末板での塩基性物質―アセチルコリンの合成不全が原因だと考えられている。これは胸腺の分泌過剰と因果関係があるらしい。”(引用)

重症筋無力症のことをいっていると思うけど、どの文献を見たかしらないけど、記載内容が間違っていた。

 また、最初、主人公と思われた女性(加奈子)が出てきたが、すぐに事件にまきこまれてしまい、安易に扱われていた。僕は小説を読む時、僕が好きになる人物を探求したいとか、主人公に感情移入して読んでいく事が多い。この作品では加奈子に興味を持ったのに、すぐに事件に会ってしまい、僕の興味が半減してしまった。もう少し彼女を知りたかったのに。また、友達の頼子が犯人であるという説明は説得力を欠いていると思った。頼子が加奈子を線路につき落とした動機は変な仮説を出して説明しようとした。二人の女性が前世の話をするが、前世と来世のことがごちゃごちゃで納得できない。作者と僕の波動があわないようだ。瀬名さんの作品は2日間で読み終えたが、1週間以上もかかってしまった。

 京極堂がわざとオカルト的なことを述べすぎているし、本質をはずれたような発言をしているように思う。饒舌すぎるので、もう少しすっきりと簡略に書いてほしい。本が分厚く字も小さいので、上下巻に分けて欲しかった。実際何十万部売れたのであろうか?僕は昔から古文や漢文は苦手であったが、難しい漢字がたくさん出てきた。

 ところで、大学入試の入試科目として日本史をとらなかった理由は歴史資料が読めないことや、細かいことまで覚えなければならなかったからだ。その点、世界史は中国史では少し漢字があるが、世界史の学習は楽しかった。自分の世界が広がるような気がしたが、また、将来は外国へ行くぞという夢を持っていたので、楽しく勉強ができた。でも、大学生の時、アメリカに行ってわかったことは、日本のこと(歴史・文化)を知らなくてはならないということだった、また、愛国心も生まれたことであり、日本はいいなと思う。最近は日本でも、いやな事件が多いが、アメリカの中学生の発砲事件などを見聞すると、アメリカに永住したいとは思わない(僕が中学生の時、アメリカからの初めての衛星中継では、ケネディ大統領の暗殺が放映されて、ショックを受けた)。

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