「刺客選挙」と「コロセウム型政治」


       「刺客選挙」と「コロセウム型政治」

衆議院選挙の結果は予想が大幅にはずれてしまった。自民党、公明党で三分の二を確保するとは、だれも予想しなかったのではないか。小泉マジックにかかった人たちが多数を占めた。参議院の役割がますます形骸化してしまうであろう。また、重要、問題法案がすべスムーズに通ってしまうのであろう。

 ところで、小選挙区の自民党の獲得票数は民主党の1.3倍であったが、獲得議席は2.7倍だった。小選挙区制度の恐ろしい側面を表しているが、このことは、逆に民主党に有利に働くときもあるわけだ。

 今回の小泉劇場型選挙での自民党の圧倒的勝利は、1.郵政民営化問題だけに焦点をしぼったことで、簡潔明瞭な訴えであったこと、2.郵政民営化に賛成しないものは、改革反対派であるという雰囲気を作ってしまったこと、3.くの一、刺客を有効に活用し、いやがうえでも、マスコミ、一般の興味をそそったこと。4.突然の解散であったため、民主党の準備不足であったこと、5.民主党の民営化に対する立場が十分に説明されなかったことと、途中で首尾一貫しない内容があったこと、6.岡田代表の生真面目さと小泉首相の演技力たっぷりのタレント性を比較すると、小泉首相がよりアピールしたこと、7.党首討論において岡田代表が原稿を棒読みしていたことは減点であった。なお、国家公務員の給与2割カットを民主党は主張していたが、そんなに下げると、国家公務員の士気が落ちてしまうし、国家公務員の支持が減少してしまうと思われた。また、専業主婦に対する控除をなくす代わりに、子育て支援に資金をまわすことには、僕は反対である。

 各種の月刊誌で郵政民営化に反対する論文が発表されたが、選挙の直前に発表されたため、国民に対する効果的な啓蒙に結びつかなかった。文藝春秋10月号で、中西輝政京大教授の論文“宰相小泉が国民に与えた生贄 かって全く同じことをしたポピュリスト首相がいた”は秀逸であり、読む価値がある。

 中西教授は、“「劇場型政治」とういうよりも、さらに一段と激しい、大群衆が「剣闘士の戦い」に興奮の声をあげる「コロセウム型政治」へと突入した。飛び交う「刺客」という言葉が、いみじくもこの選挙に潜む、「血生臭いドラマ」を浮き上がらせている。”(引用)

 1918年のロイド・ジョージ英首相が行ったクーポン選挙であるが、今回とまったく似通っている。彼は選挙を最高の見世物とするため、彼を支持する候補者には公認証書(クーポンと呼ばれた)を与え、反対者には対立候補である「刺客」が送られた。選挙の結果は今回と同様に「刺客」を送った側の圧倒的勝利だった。しかし、その4年後、ロイドは自らスカウトした代議士たちの大反乱により、政権から追い出されてしまった。詳しくは、中西教授の論文を参照してください。

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