外科医の人工呼吸器とりはずし事件


 この2週間、神経内科医師の勤務交代のため、新入院患者を3人の医師で受け持つことになったため、担当患者数が16人となり、オーバーワーク気味であり、このブログ日記の更新もできなかった。

外科医の人工呼吸器とりはずし事件

富山県の市民病院外科部長が昏睡状態の末期癌患者の人工呼吸器を家族の同意の下ではずした事件で、警察は殺人も視野に入れて捜査を進めている。

この医師が殺人罪で起訴されるようなことになれば、患者家族も殺人教唆罪で起訴されることになるのが筋であろう。しかし、この事件は起訴猶予または、嫌疑不十分で不起訴処分となるのではないかと思う。

僕は末期癌患者を受け持ったことはほとんどない。ただし、患者が危篤状態に陥り、心肺停止がおこりうる場合は、患者の家族に前もって、「心肺停止時には、心肺蘇生をしてよろしいですか?人工呼吸器をつけますか?」を聞いておく。高齢者(80歳以上)で意識障害があり、寝たきりの場合は、ほとんどが、DNR(do not resuscitate)となる。

意識障害のある癌末期患者の人工呼吸器のとりはずし事件であるが、どうして、そのような患者に人工呼吸器をつけたのだろうかと疑問を持っていた。

最近の外科医のコメントによれば、「自分が立ち会った6例の患者は、救命治療のため人工呼吸器を装着したが、救命が不可能で家族の希望もあったことから取り外した。延命治療のために人工呼吸器を装着した患者はいない、としている。」

このような患者の人工呼吸器をはずすことは、患者の家族の同意が得られるならば、問題はないと思う。脳梗塞患者の急変時(心肺停止)の治療、人工呼吸器装着・離脱について医師が直接に患者に説明するのは難しい(ただし、筋萎縮性側索硬化症患者には直接説明するが)。家族に説明して、患者の希望を間接的に類推するだけである。

高齢者にかかる医療費が高い原因のひとつは、このような患者に対して、人工呼吸器を使用するなどの過剰医療が行われているためであると思う。月の医療費が最低100万円以上かかり、大事な医療費の無駄遣いであり、患者家族にとっても、個室費用などかなりの負担になる。

なお、今回の事件は延命治療の中止であり、消極的安楽死ではない。専門家にも、マスコミの一部に誤解がある。

参考:

横浜地裁は95年、「東海大安楽死事件」判決で、例外的に延命治療の中止が認められるのは、(1)回復の見込みがなく、死が避けられない末期状態にある(2)治療行為の中止を求める患者の意思表示か家族による患者の意思の推定がある(3)「自然の死」を迎えさせる目的に沿った決定である――の3要件を満たす場合のみ、との判断を示している。

http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2004dir/n2603dir/n2603_05.htm#00

(アメリカでは?読むべし)

http://www.geocities.jp/songenky/ahaboro.html

(羽幌病院での事件)

http://square.umin.ac.jp/CBEL/bioethics_data/euthanasia_death_with_dignity.html

(安楽死、尊厳死資料)

http://cgi.members.interq.or.jp/enka/svkoya/blog/enka/archives/2006_3_27_262.html

(裁判員制度では)

http://cuttlefish.at.webry.info/200603/article_4.html

(三余亭:本格的な優れたコメントあり)

http://blog.with2.net/link.php/36571

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