変貌するTIA・脳梗塞の治療(脳血管障害セミナー)


 

変貌するTIA・脳梗塞の治療(脳血管障害セミナー)

 

先日、当地区で脳血管障害セミナーを開催し、脳梗塞診療と臨床研究で日本のトップリーダーである木村和美教授をお招きした。日常診療の参考になることが多かったので、メモをもとに要点を紹介したい。

 

          変貌するTIA・脳梗塞の治療

川崎医科大学 脳卒中学教授 木村和美先生

(http://www.kawasaki-m.ac.jp/stroke/)

 

倉敷市における脳卒中の頻度 227/10万人

日本 29万人

50歳以下発症6%、 66歳以下発症17

脳梗塞 65%、脳出血21

脳梗塞 150/10万人/

脳梗塞のリスク

 高血圧;24%が未治療

 とくに40歳以下発症例では未治療が多かった。

脳出血;50歳以下に多い

とくにリスク管理を要するのは若年男性の高血圧患者である。

 

TIA(一過性脳虚血発作)

 

持続時間は3分以上が多く、半数は1時間以内であった。

FAST(face, arms, speech, time):アメリカでの啓蒙ビデオが紹介された。

http://www.youtube.com/watch?v=CpR5_LQCyzk

http://www.youtube.com/watch?v=YHzz2cXBlGk

http://www.youtube.com/watch?v=N7tvkHTa8_4&feature=related

(日本語版も、youtubeで見つけた)

 

TIA: 緊急疾患としての啓発が必要。

神経症状がよくなっても、原因は残る。

TIA患者は崖っぷち・

20%がすでに脳梗塞を発症している。

10%;3日以内に10%が脳梗塞を発症する

 

ABCD2:

age: 60歳以上(1点)、blood pressure > 140/90mmHgclinical feature:片麻痺(2点)、麻痺を伴わない言語障害(1点)、duration of symptoms: 60分以上(2点)、1059分(1点)、diabetes:(1点)

2日以内に発症;6点以上では8%

1日以内に治療を開始すると、脳梗塞の発症を80%減少させる

Lancet 2007 370:1432-1442

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(07)61448-2/fulltext

(Effect of urgent treatment of transient ischaemic attack and minor stroke on early recurrent stroke (EXPRESS study): a prospective population-based sequential comparison. Lancet. 2007 370(9596):1432-42.)

 

TIA当日にMRI/MRA/頸動脈エコーを実施

TIA; acute cerebrovascular syndromeとしてとらえる

 

脳梗塞治療のターゲット

 

 Perfusion MRIDWIMRIのミスマッチ;DWI高信号域は非可逆性虚血性病変だが、その部位以外のperfusion MRIでの病変はペナンブラであり、血流を再開通することにより、正常に戻る可逆性病変である。

 

t-PAを早期に投与し、再開通が見られると、約40%が転帰良好であった。

http://stroke.ahajournals.org/cgi/content/abstract/STROKEAHA.110.589606v1

(Thrombolysis With 0.6 mg/kg Intravenous Alteplase for Acute Ischemic Stroke in Routine Clinical Practice. The Japan post-Marketing Alteplase Registration Study (J-MARS) Stroke. 2010  41(9):1984-9)

 

t-PAは早く投与するほど、予後が良い。

http://www.jns-journal.com/article/S0022-510X(10)00213-3/abstract

Early stroke treatment with IV t-PA associated with early recanalization. J Neurol Sci. 2010 295(1-2):53-7

 

M1 susceptibility vessel sign

http://stroke.ahajournals.org/cgi/content/full/40/9/3130

(M1 Susceptibility Vessel Sign on T2* as a Strong Predictor for No Early Recanalization After IV-t-PA in Acute Ischemic Stroke. Stroke. 2009  40(9):3130-2)

中大脳動脈M1T2*で低信号域を示す部分が新鮮血栓であり、t-PAにより、再開通しない。木村教授のところでは、このサインが見られた場合は、t-PA治療を行わず、血管内治療により、血栓を除去している。(素晴らしい!)

 

早期に再開通しない場合、虚血体積は継時的に増大する。

 

急性期治療効果に悪影響を与える病態

 

急性期の高血糖は転帰不良

高血糖(130mg/dl以上)は虚血体積を増加させる。

逆にインスリンで治療し、低血糖になると、予後が悪くなる

 

心房細動(AF

 

 脳梗塞の2025%を占める

 死亡率:12

 J-MUSIC

http://jnnp.bmj.com/content/76/5/679.abstract?cited-by=yes&legid=jnnp;76/5/679

(Atrial fibrillation as a predictive factor for severe stroke and early death in 15831 patients with acute ischaemic stroke. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005  76(5):679-83)

ワーファリンを服用している患者:30

ワーファリンを服用していない患者:30

抗血小板約を服用している患者:30

PT-INR 1.6~2.6

 

脳出血の発生

 

抗血小板薬とワーファリンを服用すると、単独使用に比べ、1.5倍脳出血を起こしやすい。

Warfarin/aspirin 1.0%

Aspirin          0.3%

Warfarin         0.6%

 

http://stroke.ahajournals.org/cgi/content/full/39/6/1740?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=1&andorexacttitle=and&andorexacttitleabs=and&andorexactfulltext=and&searchid=1&FIRSTINDEX=0&sortspec=relevance&volume=39&firstpage=1740&resourcetype=HWCIT

(Dual Antithrombotic Therapy Increases Severe Bleeding Events in Patients With Stroke and Cardiovascular Disease A Prospective, Multicenter, Observational Study.

Stroke. 2008;39:1740-1745)

 

抗血小板薬は1剤のほうが良い。

脳出血が起こると、24時間は脳出血が止まらない。

 

脳出血を起こしやすい背景

高血圧 160mmHg以上

透析患者

75歳以上

多飲

抗血小板薬2剤服用

脳梗塞の既往

Microbleed

白質病変

 

最後にシロスタゾールについて、説明があった。CSPS-IIの論文がLancet Neurologyに発表された。当科もその治験に参加したので、僕の名前が共著者一覧に掲載されている。この薬剤はラクナ梗塞の予防に有効であり、アスピリンと比べて、脳出血の副作用が有意に少なかった。頻脈や頭痛の副作用はあるが、ラクナ梗塞治療のファーストチョイスの薬剤である。

http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(10)70198-8/abstract

Cilostazol for prevention of secondary stroke (CSPS 2): an aspirin-controlled, double-blind, randomised non-inferiority trial. The Lancet Neurology, Early Online Publication, 11 September 2010

 

その他の参考文献:

Neurology. 2010 Sep 8. [Epub ahead of print]

Prior antiplatelet therapy and outcome following intracerebral hemorrhage. A systematic review.

 

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