ドクターG山中克郎教授の教育症例カンファレンス

2013年8月27日

ドクターG山中克郎教授の教育症例カンファレンス

「1カ月前から息切れ」

患者:78歳 男性

主訴:歩行時の息切れ

現病歴:

1カ月前から歩行時の息切れ。2週前よりときどき心窩部痛

今朝6時30分胸痛 重苦しい 嘔吐1回

雪が降っていてタクシーが来ないので、救急車を呼んだ

来院時胸痛なし、慢性の咳はあるが痰は出ない

既往歴;

2型DM、ASO 逆流性食道炎、脂質代謝異常

内服薬:あり

生活歴:2年前に禁煙、機会飲酒

現症:

35,5度148/72

心拍数112/分 呼吸数22/分 SPO2 97%

Short trachea 吸気時鎖骨上窩陥凹

左呼吸音減弱

見学学生のコメント:

COPDが考えられる

 

COPDの身体所見の取り方のデモ

口すぼみ呼吸

ビアだる状 胸郭前後経の拡大

胸鎖乳突筋の肥大

鎖骨上窩陥凹

深呼吸にて胸郭の拡大なし

輪状軟骨―胸骨:通常は2横指 COPD;1.5横指以下

 

追加の理学所見

手足:ばち指

左右の人差し指を爪の側で重ねると、隙間がダイアモンド状に見えるのが正常だが、

ばち指では見られない

 

COPD+ばち指を来す疾患は何か?

右左シャントがある:肺癌をまず考える、肺動静脈奇形もあり)

http://www.youtube.com/watch?v=kI4ucyuAqBw

 

検査

WBC 10500 Ca 14.1 Na138  Alb 3.7

胸部XP::右下肺野浸潤影 右肺門部異常陰影

 

Problem List

#1高Ca血症

#2 1カ月前から息切れ

#3 ばち指

 

まず高カルシウム血症の治療

1.生食 250-500ml/時 (心機能がOKなら)

NaはCaを伴って腎臓から排出

最初の24時間で3-4L

2.脱水が改善されたら、ラシックス

3.ビスフォスフォネート(副作用として顎骨壊死があり)

 

診断

肺癌に伴う高Ca血症

(ばち指:右左シャント 血管内皮増殖因子の増加)

 

参考文献:

http://www.yakujishinpo.co.jp/1006.html

悪性腫瘍随伴性高カルシウム血症Malignancy-associated Hypercalcemia

悪性腫瘍では経過中にしばしば高Ca血症が合併し,時にはこの高Ca血症が直接死因となることさえある。進行癌では比較的多い合併症である。

血清Ca濃度は副甲状腺ホルモン(PTH),カルシトニン,活性型ビタミンD3(1,25(OH)2D3)の3者によって正常域に調節されている。PTHは骨吸収(骨から血中へのCa動員)を促進し,腎においてはCaの再吸収を促進し,血清Ca濃度を上昇させる。さらには腎でのビタミンD3の活性化を促進する。ビタミンD3は肝臓及び腎臓で活性化され,腸管からのCaの吸収及び骨吸収を促進する。一方,カルシトニンは甲状腺のC細胞から分泌され,骨吸収を抑制して血清Ca濃度を低下させる。血清Ca濃度の高低により,PTHとカルシトニンの分泌量が調節されている。

悪性腫瘍に伴う高Ca血症の80%は,腫瘍細胞が過剰に産生・分泌する体液性物質(PTH-related protein; PTHrP)によって起こる(humoral hypercalcemia of malignancy; HHM)。HHMは肺扁平上皮癌,乳癌,泌尿生殖器系腫瘍や成人T細胞白血病での発症頻度が高い。一方,肺癌,乳癌などの骨転移や多発性骨髄腫などでは,骨転移した局所で腫瘍が産生する骨吸収因子によって起こる(local osteolytic hypercalcemia; LOH)。

高Ca血症の臨床症状は,食欲不振,嘔気,口渇,多尿,便秘などである。血清Ca濃度が16mg/dL以上になると,傾眠,昏睡を来たす(高Ca血性クリーゼ)。

【治療】原疾患に対する治療と並行して,高Ca血症に対して,生理食塩水の点滴静注によりCa排泄の増大を図る。これにラシックスなどの利尿薬を併用する。病態に応じて骨吸収抑制薬が用いられる。

【薬剤】骨吸収抑制薬:①カルシトニン製剤-カルシタール1日160単位筋注,エルシトニン(合成カルシトニン誘導体)1日80単位筋注・点滴静注。反復投与により効果が減弱する(エスケープ現象)が,副腎皮質ステロイド併用(プレドニン1日30mg静注)により,ある程度効果を引き延ばすことが出来る。②ビスフォスフォネート(有機二リン酸塩)製剤-アレディア,テイロック,ビスフォナール。生理食塩水500mLで希釈して2~4時間かけて点滴静注する。単回投与で著明な血清Ca濃度の低下が得られ,2週間近く効果が持続する。高Ca血症の再発に応じて再投与が必要な場合には,少なくとも1週間の投与間隔を置く。投与後は定期的に腎機能検査を行う。血清Ca値が急速に低下するおそれがあるので,カルシトニン製剤との併用に注意する。主要疾患・治療と薬剤ハンドブック(薬事新報社刊)より(引用終了)

 

追加検査

胸部CT:右肺門部肺がん+COPD

PTH intact PTH  8.7  PTHrP  6.0 (0-1.1) pmol/l

 

最終診断

肺扁平上皮癌

PTH関連ペプチド分泌→高Ca血症

 

参考論文:

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/72/6/72_6_1422/_pdf

http://blog.with2.net/link.php/36571

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神経内科専門医 neurologist
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