ドクターG:病歴だけでわかるかな?

2013年8月6日

ドクターG山中克郎教授による教育症例カンファレンス

「病歴だけでわかるかな?」

患者:71歳 男性

主訴:失神

現病歴:

今日は調子が良かった。18時頃ビール1000ml飲みながら夕食を食べた。遊びに来ていた孫とゲームで少し遊んだ後、食卓からたちあがり5歩くらい歩いたところ、突然約1分間の失神をおこした。少し気持ちが悪かった。倒れる前にふわっとした。けいれんはなし。

既往歴;子供のころ貧血で倒れたことあり。電話をかけていて失神を起こしたことがあり。

内服薬:なし

生活歴:14年前に禁煙、ビール350mml+焼酎1杯/日

現症:

126/63  91/分  他は異常なし

検査

血液検査WBC13700 他の検査は正常

鑑別診断?

参加者からのコメント

心臓

脳血管障害;

VBI(意識障害はまれにある、脳幹網様体の障害)

TIA;通常は意識障害をおこさない

不整脈

迷走神経反射

消化管出血

起立性低血圧

大動脈弁狭窄症

必要な検査は?

心電図

頭部CT

採血

心エコー

失神3羽ガラス

1.起立性低血圧

2.迷走神経反射

3.不整脈

見逃してはいけない失神を起こす不整脈

完全房室ブロック

VF VT

洞不全症候群

(頻脈、徐脈)

迷走神経反射

排尿、排便

OD;長時間の起立

痛み:採血時

嚥下性失神

食後の低血圧

診断

起立性低血圧:アルコールの影響が大(問診、現症、EKG→失神の7割が診断可能)

検査

ECG;1度房室ブロック、ST-T変化なし

心電図モニター;不整脈なし

心エコー;正常

追加検査

起立試験

臥位 111/52  心拍数97

立位血圧:64/52   心拍数63/分

起立性低血圧を認めたが、心拍数の増加はなかった。

グアヤック検査(-)

自律神経障害を伴っている疾患

DMニューロパチー

PDなど

(追加:多系統萎縮症)

追加の症例:59歳 男性

主訴: 回転性めまい

耳鼻科では平衡機能検査、重心動揺検査、聴力検査;正常

1カ月前立ちあがろうとしたら、突然回転性めまいがあり、臥位にて軽快。

野球の審判をしていたら5分間の複視。休憩時間に立ち上がろうとしたら回転性めまい

入浴時、洗髪後の顔を上にあげたときにも同様の症状があり。

必要な検査は?

臥位 126/84 心拍数67

立位 98/80  心拍数74(前の症例では心拍数は減少していたが、本例は増加していた。必ず心拍数も測定する)

起立性低血圧に関する基本事項

立位で下肢に500-1000mlの血液が貯留する

起立時に収縮期血圧20mmHg以上 拡張期血圧10mmHg以上低下する

65歳以上で20%あり

起立性低血圧の原因

循環血液量の20%を失う出血で起こる

食後低血圧

薬剤性(利尿薬、降圧薬、抗うつ薬)

アルコールが原因のこともある

DM

パーキンソン症候群

アミロイド―シス

シェーグレン症候群

対処法

座る(寝かせるほうが良い)

塩分を少し多めにとる 水分を十分とる

ゆっくりとたちあがる

食事は一度にたくさん食べない

頭部を10~20度挙上して眠る

参考文献など:

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_inoue_d.pdf#search=’%E8%B5%B7%E7%AB%8B%E6%80%A7%E4%BD%8E%E8%A1%80%E5%9C%A7+%E9%91%91%E5%88%A5‘ (失神の診断・治療ガイドライン:日本循環器学会);必ず読んでください

http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-10968982596.html(失神について)

http://eurheartj.oxfordjournals.org/content/23/10/815.full.pdf

(BLANC, J.-J., et al. Prospective evaluation and outcome of patients admitted for syncope over a 1 year period. European Heart Journal, 2002, 23.10: 815-820.)

KAPOOR, WISHWA N. Evaluation and outcome of patients with syncope. Medicine, 1990, 69.3: 160-175.(syncopeについて引用論文が500以上ある、残念ながら、無料では閲覧できない。次のeditorialにこの論文が紹介されていた。亀山正邦:めまいと失神の多様性、日本内科学会雑誌84:503-504,1995)

http://blog.with2.net/link.php/36571

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神経内科専門医 neurologist
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