ドクターG:ステロイド内服患者の原因がわからない発熱+腹痛

山中克郎教授による教育症例カンファレンス

2013年12月3日

「ステロイド内服患者の原因がわからない発熱+腹痛」

患者:53歳女性

主訴:臍周囲の腹痛

現病歴:

入院4日前3am臍周囲の持続的な腹痛

8pm嘔吐 下痢なし 軟便あり

持続するためER受診

既往歴:

5年前心サルコイドーシス、 1年前ICD植え込み

プレドニン5mg服用

高血圧、高脂血症あり、DMなし

現症

96/58  36.4度 心拍数66/分

臍部中心として腹部全体に軽い圧痛

CVA叩打痛なし

検査:

EKG::RBBB, SVPC

WBC10,000  K3.5 CRP0.3

尿検査;正常

腹部単純XP:正常

鑑別診断は?

参考: 副腎不全;Na低下 K増加、しかし、レニン・アンジオテンシン系にて代償されるため、正常のことが多い。倦怠感、繰り返す低血糖発作

卵巣嚢腫の茎捻転:痛みが高度、尿管結石と似ている

経過1:

鎮痛薬と消化剤処方にて帰宅

午後6時 発熱39.8°ER再診

腹痛は半減。悪寒以外に明らかな症状はなし

現症:

37.4° 心窩部に軽度の圧痛

WBC14,700 CRP 2.0  K3.2

検尿;細菌+1

腹部CT;異常ガスなし 脂肪織不正なし

経過2:

感染フォーカス不明

ICD感染予防のため、経口セフェム処方 翌日、帰宅

経過3

入院2日前に18時発熱38.3度 身体所見なし

その後、発熱、下痢は持続

入院3pm 腹痛あり

身体所見:

JCS1  38.4度 呼吸回数18回

右臍下部―骨盤部;軽度の圧痛

検査:

WBC4, 500  CRP14.7  K3.7  Cre 0.7

検査;

腹部CT:フリーエア少量

婦人科にコンサルト:子宮周囲の炎症と体液貯留

抗菌薬投与にて自覚症状はかなり改善

しかし、画像では――

CT: 胸水軽度。腹水

腹部CT;造影;free air 糞石

最終診断:

急性壊疽生虫垂炎;穿孔;骨盤に垂れ込む虫垂

多発性腹腔内膿瘍

Take Home Message

  1. ステロイド内服患者の腹痛は心してかかれ!
  2. 虫垂炎の診断はやっぱり難しい!
  3. 珍しい病気より、よくある病気の非典型的な症状を考えろ!

文献:

移動盲腸の診断・治療に腹部 CT が有用であった急性虫垂炎の 1 例. 日本臨床外科学会雑誌, 2009, 70: 1095-1098

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/70/4/70_4_1095/_pdf

急性腹症診療における腹部 CT の有用性の検討. 日消外会誌, 2007, 40: 15-25.

http://journal.jsgs.or.jp/pdf/040010015.pdf

急性虫垂炎の診断における腹部 CT 検査による虫垂径測定の有用性. 日本臨床外科学会雑誌, 2008, 69: 2462-2467.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/69/10/69_10_2462/_pdf

急性虫垂炎の非典型例にはどのようなものがありますか?

寺澤秀一:レジデントノート 13(11): 2056-2060, 2011. (Medical Onlineから閲覧可能ですので、是非読んでみてください。研修医一同へ)

http://blog.with2.net/link.php/36571

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