ドクターG:脾摘後敗血症

2013年12月24日 山中克郎教授による教育症例カンファレンス

「背部の激痛→ショック」

患者:41歳、男性

主訴:背部痛

現病歴:

1週前より背部に違和感、昨日から背部に激痛 38度 持続痛が両側腰部~大腿にあり

暴れるくらい痛い 食思不振

陰性症状;嘔吐、下痢、便秘、しびれ

既往歴:

交通事故のため、脾臓摘出 5歳

尿路感染症10年前

現症:

JCS:I-3 35.4度 血圧95/55 脈拍108/分 SPO2 93% 呼吸回数18回/分

診察時に嘔吐、尿失禁 血圧低下 66/45

臍周囲に軽度圧痛、筋性防御± 椎体叩打痛なし CVAなし 肝・脾蝕知なし

Murphy(-) 反跳痛なし McBなし

両ラセグー徴候陽性

検査:

CRP 24.4  K2.9  Plt 12.4万 WBC 4100

尿蛋白+3 尿潜血+3

ABG 7.34, PCO2 36 mmHg, PO2 57mmHg, HCO3- 19mEq/l, Na 138, K2.9, Cl 100

AG (anion gap:正常値は12)? 19 , 計算式:Na-CL- HCO3-=138-100-19=19

補正HCO3-は?

http://blood-gas.com/

AGが上昇する病気→代謝性アシドーシス

乳酸アシドーシス

糖尿病性ケトアシドーシス

アルコール性ケトアシドーシス

腎不全

サリチル中毒

エチレングリコール中毒

メタノール中毒

胸部XP 正常

胸腹部CT 正常

鑑別診断:

#1 背部の激痛

#2 軽度の意識障害

#3 ショック

#4 血尿・蛋白尿

研修医:

感染;部位は?

経過:

挿管 人工呼吸器

治療:補液とノルアドレナリン

7時間後、血小板2.7万

全身の紅斑(網状暗赤色)

追加検査:

胸部XP:肺炎,心不全?

血培;インフルエンザ桿菌(+)(通常は2セット、感染性心内膜炎は3セット)

CT:副鼻腔炎あり、 参考;前立腺炎など見逃しやすい。

既往歴:脾臓なし→肺炎球菌に侵されやすい。

最終診断:

脾摘後敗血症

数時間でショックになる恐ろしい感染症

悪寒、発熱、筋肉痛、嘔吐、下痢の前駆症状

DIC、電撃性紫斑病、昏睡、四肢壊死を起こす

起炎菌は肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、髄膜炎菌

文献:

http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0830030261.pdf

脾臓摘出 22 年後に発症した overwhelming postsplenectomy infection. 感染症学雑誌:  2009, 83: 261-265.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/71/3/71_3_696/_pdf

胃癌術後化学療法中に発症したインフルエンザ桿菌による overwhelming postsplenectomy infection の 1 例. 日本臨床外科学会雑誌, 2010, 71: 696-701.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2675110/

Overwhelming postsplenectomy infection syndrome in adults-a clinically preventable disease. World journal of gastroenterology: 14 (2008): 176.

http://blog.with2.net/link.php/36571

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