ドクターG:慢性下痢を呈する若年女性

2014年4月8日 山中克郎教授による教育症例カンファレンス

診断推論:病歴から診断を絞り込む;8割が診断可能

鑑別診断を考える

「腹痛のため学校を休みがち――」

患者: 16歳、女性

主訴:下痢と腹痛

現病歴:

1年3か月前より微熱 Max 38.8度 1年2か月前から1日数回の粘液の混ざった下痢と腹痛。総合病院に入院し、抗菌薬(AZM+CTRX)にて症状が軽快したため退院となった。

しかしその後、寝汗、胃酸のこみあげ、咽頭痛、便に血液が混入、入院し検査をしたが原因不明で当科に紹介入院。

寝汗の程度は?シャツを着替えるほどの熱(悪性リンパ腫、結核など)

既往歴:なし

追加の病歴:

体重減少なし

海外渡航歴なし

高齢者、幼児との接触なし

不特定多数のセックスパートナーなし

理学所見:

37.2度 心拍数98/分

上口唇にびらん

腹部全体に軽度圧痛

とくに特殊な徴候はなし

検査:

WBC5,500  Hb10.8 CRP 4.4

大腸内視鏡:表層部にびらん、単核細胞主体の炎症

発症3か月後 注腸造影検査;S~Aにかけてびまん性アフタ

発症3か月後の大腸内視鏡:全大腸に軽度のアフタ

発症1年後の歯肉生検 粘膜下~筋層の肉芽種粘膜下の炎症細胞浸潤

Problem List: 鑑別診断は?

#不明熱

#慢性下痢

#腹部全体の軽度圧痛

#全大腸のアフタ様変化

#上口唇のびらん(肉芽腫あり)

鑑別診断は?

クローン病

潰瘍性大腸炎

甲状腺機能亢進症:TSHが一番感度がよい

(参考;甲状腺機能低下症; Al-p高値、TChol高値 CK高値)

腸結核

自己免疫疾患;SLE

Snap diagnosis: パターン認識;10%が診断可能

系統的に考えるのもひとつの方法

参考;Suttonの法則 銀行泥棒 そこに金があるから

病気のある部位組織を検索すること

http://okimasa85.exblog.jp/6555082サットンの法則

キーワードからの鑑別が役立つ

慢性下痢の原因

1.腸管運動性

過敏性大腸症候群(最も多い)、術後(胃切除、blind loop症候群)

DM、甲状腺機能亢進症、強皮症

2.炎症性

炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)

microscopic colitis

放射線性腸炎:放射線治療の数年後に起こることがあり

3.浸透圧性

乳糖不耐症:牛乳を飲んだり乳製品を食べると下痢や腹痛あり

薬剤

4.吸収不良症候群

膵疾患(慢性膵炎、膵がん)

Small bowel bacterial overgrowth

短腸症候群:回腸を>100cm切除すると重度の下痢、ビタミンB12・胆汁酸吸収不良

が起こる

Celiac病、Whipple病

  1. 分泌性

    神経内分泌腫瘍(カルチノイド、VIPoma、Zollinger-Ellision症候群)

    悪性腫瘍(大腸がん、悪性リンパ腫)

    胆汁酸による下痢(胆嚢摘出後、回盲部切除)

     

  2. 慢性感染症

    ランブル鞭毛虫、Clostridium difficle(偽膜性腸炎) 赤痢アメーバ、クリプトスポリジウム

    Schiller LR: Med Clin North Am 84:1250,2000

    (山中克郎:外来を愉しむ 攻める問診より引用)

http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%96%E6%9D%A5%E3%82%92%E6%84%89%E3%81%97%E3%82%80%E6%94%BB%E3%82%81%E3%82%8B%E5%95%8F%E8%A8%BA-Bunkodo-Essential-Advanced-M/dp/4830681462

注腸造影:小腸造影;びらんあり

最終診断:クローン病

若い成人

浮腫、潰瘍を伴う肉芽腫性炎症性病変

回腸末端炎

口内炎

上強膜炎

尿管結石

関節痛

気尿;クローン病、S状結腸 腸管膀胱瘻

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/117497/1/38_337.pdf

保存的治療が奏効したクローン病による膀胱腸瘻の1例、泌尿器科紀要 (1992), 38(3): 337-341

http://www.remicare-cd.jp/crohn/outline/introduction/index.html

クローン病とは

下記の総説はMedical Finderで閲覧可能

特集 炎症性腸疾患のすべて―新しい治療戦略 クローン病の診断と内科治療

臨床外科 67巻10号(2012.10)P.1250-1256

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