心房細動に伴う脳梗塞の再発予防Update ~Hybrid Anticoagulation~

心房細動に伴う脳梗塞の再発予防Update ~Hybrid Anticoagulation・イグザレルト錠への期待~ 国立病院機構九州医療センター脳血管内科科長 矢坂正弘先生

(2014年5月8日)

 

Hybrid Anticoagulation」という言葉を今回、初めて聞いた。脳卒中専門医なら当然知っているであろうが、この病態についてわかりやすく説明がなされた。

 

内頸動脈の可動性血栓:頸動脈超音波の動画があり。引用文献は別のものであったが、

Google Scholarで下記の文献がヒットした。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0741521406018404

Bhatti AF et al. Free-floating thrombus of the carotid artery: literature review and case reports. Journal of vascular surgery, 2007, 45: 199-205.

 

再発率

急性期  1.6-20.3%

慢性期  年間12%

久山研究 75%/10年

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1739549/pdf/v076p00368.pdf

Hata J et al. (2005). Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study. Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry, 76(3), 368-372.

 

発症すれば重症:ノックアウト型脳梗塞(正式な医学用語ではないが)

再発しやすい

確実な予防が重要(十分な抗凝固薬が必要)

ワルファリンは脳出血を起こしやすい

 

WF治療中の脳出血;人種差があり。アジア人 X4.06

Shen, A. Y. J., Yao, J. F., Brar, S. S., Jorgensen, M. B., & Chen, W. (2007). Racial/ethnic differences in the risk of intracranial hemorrhage among patients with atrial fibrillation. Journal of the American College of Cardiology, 50(4), 309-315.

http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleid=1138357

 

抗血栓療法時の頭蓋内出血

Single anti-platelet drug 0.3%

Dual A/P               0.6%

Anti-coagulant         0.6%

A/C+ A/P             1.0%

Toyoda K, Yasaka M et al. (2008). Dual Antithrombotic Therapy Increases Severe Bleeding Events in Patients With Stroke and Cardiovascular Disease A Prospective, Multicenter, Observational Study. Stroke, 39(6), 1740-1745.

http://stroke.ahajournals.org/content/39/6/1740.full

 

急性脳内出血に占めるWF療法患者の割合

10% 特徴:1.大出血 2.血腫の増大 →予後不良

Devastating or catastrophic bleeding!

推定値:

WF: 120万人X 0.6~1.0% →毎年、7千人~1万2千人が頭蓋内出血を発症

WFの二律背反(Trade off

WF療法は強く?弱く?

脳梗塞の予防、WF療法は容易ではない

工夫が必要

  1. 血圧のコントロール
  2. 70歳以上(低用量WF療法)PT-INR 1.6 ~ 2.6

Yasaka ., Minematsu, Yamaguchi T. (2001). Optimal intensity of international normalized ratio in warfarin therapy for secondary prevention of stroke in patients with non-valvular atrial fibrillation. Internal Medicine (Tokyo, Japan), 40: 1183-1188.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine1992/40/12/40_12_1183/_pdf

 

NOAC: Novelではなくなってきているので、現在は、Non-VKA Oral Anti-coagulantsと呼ばれているそうだ。

特徴

  • 管理が容易(食事、薬物、効果発現(4時間で効果あり)、排出(半減期12時間))
  • 脳梗塞予防効果はWFと同等か、それ以上
  • 大出血はWFと同等か、それ以下
  • 頭蓋内出血は激減

 

 

ハイブリッド抗凝固療法について

 

Yasaka M. (2012). Current strategies of anticoagulation therapy for patients with non-valvular atrial fibrillation. Journal of Arrhythmia, 28(6), 324-329.

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1880427612000920

矢坂正弘、岡田靖:新規経口抗凝固薬に関する諸問題

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/35/2/35_121/_pdf

矢坂正弘. 直接トロンビン阻害薬 (ダビガトラン)(特集 心房細動: 診断・治療の最新動向)–(心房細動の治療). 日本臨床, 2013, 71: 113-118. (Medical Onlineで閲覧可能)

Yasaka M: J-ROCKET AF Trial Increased Expectation of Lower-Dose Rivaroxaban Made for Japan

https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/76/9/76_CJ-12-0923/_pdf

矢坂正弘:脳神経領域での最新の抗凝固療法、No Shinkei Geka, 41(9) : 755 – 764, 2013

(Medical Finderで閲覧可能)

ダビガトランはアンチトロンビン,プロテイン C,プロテインS および TFPIなどの生理的凝固阻止因子を抑制しないので,ダビガトラン自身の抗凝固作用と生理的凝固阻止因子の両者で抗凝固作用を発揮するものと理解される抗凝固作用が 2 系統完全に作動することになるので hybrid anticoagulation(ハイブリッド抗凝固療法)と形容することもできよう.NOAC 内服後の血中濃度は 1∼4 時間でピークに達し,以後低下しトラフを迎える.ワルファリンがピークで効き続けることと対照的である.NOACは,ピークではトロンビンの持続的活性を抑制することにより生理的凝固阻止因子の消費を抑え,トラフでは NOAC の抗凝固作用は低下するが,それを十分な活性を有する生理的凝固阻止因子が補うと推定される.そのため,血中濃度と相関する activated partial thromboplastin time(APTT)や PT-INR の値が著しく高値を示せば,出血のリスクは高まるが,それらの指標が低値を示しても血栓症や塞栓症の発症は抑制されることになる.

 

アジア人(東アジア)

低体重、Creatinin Clearanceの低値

 

リバーロキサバン

75歳以上、体重50㎏以下ではWFより出血が多い。

  1. 徹底的なリスク管理

    頭蓋内出血:高血圧(130未満)、血糖高値、過度の飲酒、喫煙

  2. 抗血栓薬との併用を避ける
  3. 頭蓋内出血の少ないNOACの選択

    リバーロキサバン:禁忌;CCr 15ml/min以下

    低用量選択基準:(10mg/日)

    CCr 50ml/min以下

    75歳以上かつ体重50㎏以下

 

NOAC投与例で脳出血症例があり。ダビガトラン110mg 1APTT 72.4% 血圧154/90

経過:血腫の増大はみられなかった。

NOAC療法:

 脳出血の頻度は低下

 血腫のサイズは小~中 → 増大しない

Intracranial Hemorrhage During Dabigatran Treatment – Case Series of Eight Patients – Circulation Journal 2014

https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-13-1534/_pdf

 

WF療法:

頻度が高い

大出血 → 血腫の増大

なお、WF投与例でPT-INRが適正値でも脳出血はおこる

結論:WFは脳出血をおこしやすく、重度になるので、NOACに切り替えている。

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