覚醒剤のこわさ:ドクターG

覚醒剤のこわさ:ドクターG

2014年5月27日 山中克郎教授による教育症例カンファレンス

「咳が止まらない」

患者:38歳 男性

主訴:咳がとまらない

現病歴:

覚醒剤所持容疑で自宅を捜査。咳が最初は不自然な形ではじまったが、次第にせき込み、話せなくなった。

ROS (-) :胸痛、腹痛、背部痛

既往歴:小児ぜんそく

気管支拡張薬とステロイドの合剤を吸入 6か月前より中止

現症:やや錯乱 38.1度 心拍数130/分 頻回にせき込む160/80 全身発汗著明

検査;

胸部XP正常

CK338 CRP 0.3以下WBC 9,800

AGA; PCO2 33 PO2 71 H2CO3- 20 乳酸65.8(増加) PH7.41

治療:

ソルメドロール 80mg静脈注射

ボスミン 0.3mg 2回皮下注

ベネトリン吸入0.3mlX2

アタラックスP

全て無効

Problem list

‪#‎乳酸高値

‪#‎繰り返す咳

‪#‎発汗過多

 

岩田先生が患者をひきついでくれた。

錯乱、発汗著明、高熱

高血圧 頻脈

→交感神経緊張症状

治療:

セルシン注射

検査の追加

トライエージ

覚醒剤+ 大麻― コカイン – ベンゾジアゼピン - バルビタール -

三環系抗うつ薬 -

最終診断:

アンフェタミン中毒

ERにおける

意識障害+体温上昇+頻脈の鑑別診断に強くなっておくこと

熱中症

敗血症

甲状腺クリーゼ

悪性症候群

セロトニン症候群

薬物中毒(アンフェタミンなど)

 

http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2012-09-12

(救急科専門医の独り言:トライエージという検査があります)

追加:

当院神経内科をローテートしているU研修医に抄読会として読むように渡してあった論文の中に今回の症例が記載されていた!

「知らないと超難問,一度聞いておけば絶対に忘れない症例─キーワードは意識障害+高体温+頻脈+発汗」 岩田 充永

medicina 50巻9号(2013.09)1534-1538 (Medical Finderで閲覧できます)

引用:

Take Home Message

錯乱+発汗+頻拍+高体温では違法(脱法)薬物による交感神経亢進症状を考慮すること!

医学的に診断がつきにくいことに加えて,警察への対応や入院となったら誰が主治医になるのだろうか,などの医学的な要因以外のストレスが加わると,医療者は平常心で働くことが難しく違法(脱法)薬物のなかでも覚せい剤(アンフェタミン・メタンフェタミンなど)や一部の脱法ハーブなど頻用されているものは交感神経亢進症状をきたす薬物が多く,重症例では生命にも危険が及ぶ.目の前の厄介なトラブルからは逃げ出してしまいたいという気持ちは十分に理解できるが,まずは医療者として冷静に「この症状は薬物に起因するものではないだろうか?」と検討する姿勢を失ってはいけない.

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神経内科専門医 neurologist
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