パーキンソン病も多系統萎縮症も異常シヌクレインによるプリオン病である!

パーキンソン病も多系統萎縮症も異常シヌクレインによるプリオン病である!

第8回進行期パーキンソン病研究会 2014年5月30日

特別講演II「αシヌクレインの伝播について」長谷川成人先生

正常α‐synuclein が異常α-synucleinと遭遇すると、異常α‐synucleinに変換される。異常α‐synuclein fibrilは細胞内のプロテアゾーム系で分解されず、細胞死につながる。

ニューロドクター乱夢の講演会場での質問

  1. 同じプリオン病であるCJDでは経過が早いが、PDでは遅い理由は何ですか?
  2. 「CJDでは細胞膜に変化が来るので、急速に悪化するが、PDでは細胞質内の変化なので病的過程は遅い」
  3. PDの病気のスタートとして、異常α‐synucleinが作られるのはどのような理由ですか?細胞が癌化するのと同じようなものだろうか?癌の場合は、生体内で癌細胞を排除するような免疫機構があるが、プリオン病では免疫反応は起こらない。
  4. 「まったく偶然ではないかと思う。生体内でおこりうる。」

意見交換会での質問:

  1. 先生の論文がOlanowらの総説に引用されていないのは、どうしてでしょうか?先生の最初の論文について、もしかしたら、reviewerにアイデアを盗まれたことはなかったのでしょうか?科学の世界では大きな発見のときは、アンフェアなことはよくあるのではないかと思いますが。
  2. 「最初の論文はNatureに出したが、rejectされたが、その後、他の研究グループが細胞培養系で異常synucleinのプリオン様伝播を報告した。アイデアが盗用されてしまった。Natureに投稿したときのreviewerがわたしのアイデア(PDのプリオン仮説)を出してしまった(おそらく文献3が文献1で盗用された;乱夢の見解)」と述べていた。

5月の日本神経学会総会でも今回の講演会でも最後のほうに次のようなスライドを提示した。プリオン病の発見者でノーベル賞受賞者のPrusiner教授から4月に日本を訪問する予定だが、是非、長谷川成人先生にお会いしたいとの秘書からのメールが届き、彼は承諾した。レストランでの会食の写真が紹介された。長谷川先生はよほどうれしかったに違いないと思った。1982年にペンシルベニア大学に留学していたころに、僕が所属していた研究室をPrusiner先生が訪問され、握手をしたことがあった。彼は大柄で精悍な顔貌であった。スライドに写っている現在の彼の顔を拝見すると、やはり年齢を感じてしまった。彼はもともと神経内科医であり、その後、プリオン病(当時はCJD)の研究に邁進していった。蛋白が感染性を持ち、増殖するということを示したが、当時の同僚たちは彼の仮説を信じていなかった。

 

文献:

  1. Desplats P, et al. (2009) Inclusion formation and neuronal cell death through neuron-to-neuron transmission of α-synuclein. Proc Natl Acad Sci USA 106:13004–13005.

http://www.pnas.org/content/106/31/13010.full

  1. Yonetani M, Nonaka T, Masuda M, et al. Conversion of wild-type alpha-synuclein into mutant-type fibrils and its propagation in the presence of A30P mutant. J Biol Chem 2009; 284:7940-7950.
  2. http://www.jbc.org/content/284/12/7940.long
  3. Nonaka T, Watanabe ST, Iwatsubo T, Hasegawa M. Seeded aggregation and toxicity of {alpha}- synuclein and tau: cellular models of neurodegenerative diseases. J Biol Chem 2010; 285:34885-98.

http://www.jbc.org/content/285/45/34885.full

  1. Masuda-Suzukake M et al. Prion-like spreading of pathological α-synuclein in brain. Brain, 136(4), 1128-1138, 2013.

“Recent studies have also shown that exogenous α-synuclein fibrils induced Lewy body pathology in cultured neurons (Desplats et al., 2009; Emmanouilidou et al., 2010; Nonaka et al., 2010; Volpicelli-Daley et al., 2011)”

http://brain.oxfordjournals.org/content/136/4/1128.long

  1. Nonaka T et al. Prion-like properties of pathological TDP-43 aggregates from diseased brains. Cell reports, 4(1), 124-134, 2013

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211124713002854

  1. Olanow CW, Prusiner, SB (2009). Is Parkinson’s disease a prion disorder? Proceedings of the National Academy of Sciences, 106:12571-12572.

(Ref 1のリンクが間違っている。上記のDesplatsの論文)

http://www.pnas.org/content/106/31/12571.long

  1. Stanley B. Prusiner. A Unifying Role for Prions in Neurodegenerative Diseases.

Science 2012: 336; 1511-1513.

http://www.sciencemag.org/content/336/6088/1511.full

  1. Joel C. Watts et al. Transmission of multiple system atrophy prions to transgenic mice

Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2013) 110 (48): 19555-19560

http://www.pnas.org/content/110/48/19555.full

  1. 長谷川成人:変性疾患のシード・凝集・神経回路網伝搬仮説の検証 神経変性疾患における蛋白癌仮説 臨床神経2011;51:1101-1104

www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/051111101.pdf

蛋白癌仮説

「神経変性疾患を説明する「蛋白癌仮説」とは,細胞内に生じた異常蛋白質が,プリオン同様その特殊な構造から自身を鋳型に正常蛋白を異常蛋白に変換して増殖し,癌細胞が転移するように,シナプスなどを介して他の細胞に広がって,神経変性が進行するという仮説である(Fig. 1)3)4).プリオンが個体から個体への感染を意味するのに対して,脳内における異常分子の細胞間の広がりを強調したいと考えて「癌」という表現を使っている.老化,環境変化などにより,細胞内蛋白質品質管理システムの障害,破綻がおこると,特定の蛋白質(タウやα シヌクレインなど)が重合してアミロイド様分子を形成する.さらにそれが鋳型となって正常分子を取り込んで異常に変換する.それらが一つの細胞内に留まれば大きな問題とはならないが,神経ネットワークなどを介して他の細胞に伝播する.その結果,癌細胞が転移して増殖するように細胞内の異常蛋白質が増え,同じ病変がひろがって,神経変性が進行するという考え方である.実際に変性疾患患者脳の異常蛋白病変は,蛋白質が無構造,無秩序に溜まるというものではなく,規則正しい,線維構造をとって蓄積している.AD のタウはPHF という特異な線維として,PD のαS はPHF よりも細い5~10nm の線維として蓄積する.さらにこれらの線維はいずれも,異常プリオンと同じアミロイド線維の特徴であるクロスβ 構造をとっていることがX 線回折の結果から示されている.」

細胞モデル

「培養細胞にヒトαS プラスミドを導入し,αS を過剰発現しても,レビー小体様の凝集体は形成されない.しかしながら,ここにあらかじめ試験管の中で重合したαS 線維をリポフェクタミンと共に処理すると,線維が細胞内に導入され,患者脳にみられるものと区別できない,リン酸化,ユビキチン化されたαsyn の封入体が形成される.凝集体が形成された細胞においては,ポリユビキチンの増加とプロテアソーム活性の低下が検出され,ユビキチンプロテアソーム系の障害と思われる細胞死が観察される.」(文献3)

  1. Recasens A et al. Lewy body extracts from Parkinson disease brains trigger α-synuclein pathology and neurodegeneration in mice and monkeys. Annals of Neurology 75, 351–362, 2014 (長谷川先生のグループのBrainでの発表が早かった.
  2. 文献3)の論文が引用されていない!)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.24066/abstract

 

参考:

http://en.wikipedia.org/wiki/Stanley_B._Prusiner

Prusiner教授はペンシルベニア大学医学部卒業生であった。

 

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