ドクターG:ジュージューと耳鳴がします

ドクターG:先生 ジュージューと耳鳴がします

山中克郎教授による教育症例カンファランス  2014年6月10日

耳鼻科からコンサルト:

数年前から両側の繰り返す難聴にて受診

急性感音性難聴として入院している患者

立位で耳中に響く耳鳴

体位の変化で異常を訴える 低髄圧症候群?

患者:35歳女性

現病歴:

5年前 左難聴

5か月前ソファーに寝ていたら、突然、左耳の奥で何かがもれるような音がした

2か月前、両側の難聴 TVの音を最大にしても聞きにくくなった

既往歴:なし

内服薬 ユベラ アデホス トランサミン

点滴:グリセオール メチコバール メイロン アデホス

職業:会社員

追加:

心臓の鼓動に合わせて音がする

左耳をベッドに押し付けて寝たり、頭を下垂したり、風呂に入ると耳鳴は軽快する

3日前に担当医に、「全力で治してください」と叫んだら、ひどい頭痛。ロキソニンにて軽快

現症:

意識清明 血圧84/61 心拍数78/分 呼吸数18/分 体温36.6度

左頸部~左耳(頸動脈)の血管雑音 甲状腺腫大なし 頸部リンパ節蝕知なし

四肢チアノーゼなし

検査:

WBC7.800 Hb 12.1 CRP 0.3以下 血沈25mm/時 甲状腺正常 尿検査;正常

Audiogram

右耳21.3 dB 左耳103.8 dB

EKG:正常

鑑別診断:

硬膜動静脈瘻

AVM

追加検査は?

頸部MRA;AVFはなし 左総頸動脈一部やや狭窄(脳外科医師追加コメント:左鎖骨下動脈の閉塞があり)

追加検査をどうしますか?

頸動脈エコー:

高安病の疑い(マカロニサイン:IMCの全般性肥厚)

右内頚動脈 外頸動脈 左総頸動脈の血流速度の亢進を認める

http://blog.livedoor.jp/yanchang/archives/2012-01.html (マカロニサイン)

CEAにより血行再建を行いえた大動脈炎症候群による総頚動脈閉塞症の1例.

脳神経外科ジャーナル 21 (2012) 885-889

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/21/11/21_885/_pdf

血管撮影:左鎖骨下動脈の閉塞、頸動脈の一部狭窄

最終診断:

高安病

高安病について:

  1. 無症状 10~20%

高血圧 血管雑音 脈拍低下(本例では左手首の橈骨動脈が触知できなかった!)

  1. 全身症状 20~40%

倦怠感 体重減少 発熱 関節痛 筋肉痛

  1. 血管症状

間欠性は行 脳梗塞 失神 頭痛 視力障害

病理:

外膜への単核球浸潤 中膜への炎症進行 肉芽形成 弾性版 平滑筋組織の断裂壊死中膜と内膜に肥厚

血管閉塞 動脈瘤の形成

治療:

プレドニゾロン 免疫抑制剤など

文献:

耳鳴と難聴を伴った大動脈炎症候群の1例、耳鼻39:949~952,1993.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi1954/39/6/39_949/_pdf

「大動脈炎症候群は1908年に高安によりはじめて報告された.大動脈およびその分岐基幹動脈の非特異的炎症性血管炎で,血管の狭窄,閉塞などによって種々の症状をきたす症候群である.日本人に多く,男女比は約1:9で圧倒的に女性に多く,20-30歳代に多い疾患である4).本症の原因については自己免疫の関与が強く疑われ,検査所見では赤沈値の亢進,血清蛋白分画の異常,CRP陽性などの特徴がある.大動脈炎症候群による耳鳴,難聴については,本邦では今まで神崎ら5)の報告などいくつかの報告が見られる2)6)7).山際ら8)によると,大動脈炎症候群は女性が多く,36-45歳で高音漸傾型の内耳性難聴を伴うことがある.耳鳴を伴い,平衡機能検査では異常がみられないが,難聴が高度になると半規管障害を伴ってくる.治療としては副腎皮質ホルモン剤が奏効すると報告している.本症例でも,頚部の血管性雑音,血液検査所見,大動脈造影から大動脈炎症候群が強く疑われ,女性であること,年齢およびステロイド剤が奏功していることなどの一致した所見があり,大動脈炎症候群の部分症としての耳鳴,難聴が強く疑われた.難聴の原因として,神崎ら5)は大動脈炎症候群の部分症として,内耳血管炎が生じたことによる可能性があることを最初に報告している.また神崎9)は血中免疫複合体が高値を示す例では,血管条や,ラセン靱帯の血管壁に免疫複合体が付着することが推測されるとも報告されている.」

Sensorineural Hearing Loss Combined with Takayasu’s Arteritis. Internal Medicine 44 (2005) 124-128.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/44/2/44_2_124/_pdf

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