ジェネラリストのための内科診断レファレンス:書評

ジェネラリストのための内科診断レファレンス

エビデンスに基づく究極の診断学をめざして

上田剛士著 医学書院

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%86%85%E7%A7%91%E8%A8%BA%E6%96%AD%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9-%E3%82%A8%E3%83%93%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AB%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%8F%E7%A9%B6%E6%A5%B5%E3%81%AE%E8%A8%BA%E6%96%AD%E5%AD%A6%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%97%E3%81%A6-%E4%B8%8A%E7%94%B0-%E5%89%9B%E5%A3%AB/dp/426000963X/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1405778591&sr=1-1&keywords=%E4%B8%8A%E7%94%B0%E5%89%9B%E5%A3%AB

 

この本の売れ行きは好調である。2月発売で現在第3版が出版され、アマゾンでの医学書部門で第1位である。総合診療に関連した著書でこの本はベストであると思う。

神経内科の項目を少し読んでみた。図表が多く、いくつかの論文をまとめてわかりやすく提示してある。メモも充実しており、引用文献が必ず記載されている。神経内科診療のピットフォールであるくも膜下出血に関する項目が6ページにわたって記載されている。感度、特異度のデータで重要なポイントはカラーで強調されている。

著書の経歴を見ると2002年から2年間名古屋掖済会病院で研修医をしていた。なお、ひとつだけ、大きなミスを発見した。(他の人の書いたミスは簡単にわかるが、自分の書いた論文のミスは見逃されることが多いが)

Page 605

髄液糖

原文:「ウイルス性髄膜炎や癌性髄膜炎では低値とならないのが普通であるが」 →

正しくは:「ウイルス性髄膜炎では低値とならないのが普通であるが」(癌性髄膜炎の髄液糖の低値は医学生レベルの知識であるが、思い違いか他の髄膜炎と勘違いしたのだろうか?)

リウマチ性多発筋痛症(PMR)についてもコメントする。

膠原病診療ノート:最新版ではどうかは確認していないが、PMRに関して古典的な診断基準のみが記載されていて、画像診断を何も記載されていなかったことに大いに不満を持っていた。しかし、この内科診断レファレンスでは次のようにとりあげられている。

「肩関節MRIを撮像すると活動期にはほぼ全例でそれらの炎症所見が陽性となる。」

1997年に初めてPMRのMR所見が報告され関節包の炎症が示唆された。

Salvarani C et al. Proximal bursitis in active polymyalgia rheumatica. Ann Inter Med 1997:127:27-31 http://annals.org/article.aspx?articleid=710646) 。

2005年前後の日本内科学会の東海地方会でPMRの報告があったが、質疑で上記の論文について質問したが、演者は知らなかった。当院では当時、PMR3例ですべてにMRでの典型的所見が認めていたが、学会報告しなければと思っていたが、そのままになってしまっていた。しかし、2007年に日本からPMRのMR所見の報告が初めて英語で論文化された(Mori S, Koga Y, Ito K. Clinical characteristics of polymyalgia rheumatica in Japanese patients: evidence of synovitis and extracapsular inflammatory changes by fat suppression magnetic resonance imaging. Mod Rheumatol 2007;17:369-75.)。

この日本からの論文と下記の最新の総説が引用されていないことに不満を感じた。

Camellino D and Cimmino MA: Imaging of polymyalgia rheumatica: indications on its pathogenesis, diagnosis and prognosis. Rheumatology (Oxford) 51:77-86, 2012.

http://rheumatology.oxfordjournals.org/content/51/1/77.full

なお、この記事は私のブログである「ニューロドクター乱夢随想録」にも掲載した。また、このブログには藤田保健衛生大学の山中克郎教授による教育症例カンファレンスが記載されていて、総合内科診療を行っている若手の学習の一助となると思うので一度訪問してください。

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神経内科専門医 neurologist
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