膵臓がんの早期診断マーカーが開発された!元相撲力士にお勧め!

膵臓がんの早期診断マーカーが開発された!元相撲力士にお勧め!

人間ドック健診認定医・専門医研修会2016年

 

「アミノインデックス技術の臨床応用~健康診断の近未来~」

「膵癌早期診断のための戦略」

前者がアミノインデックス技術の紹介で、後者が去年末からSRLで測定可能となったアミノインデックスがんリスクスクリーニング(AICS)の紹介であった。

この講演の翌日に、千代の富士(歴代の横綱の中で一番好きな力士であったが、早死にされ、非常に残念である)が膵臓がんでなくなったというタイムリーな講演内容であった。私の叔父が膵臓がんで亡くなり、去年は外来受け持ち患者が膵臓がんで亡くなったので、他人事ではない。

膵臓がんのサイズが1cm以内に発見される場合は5年生存率が80%、10~20mmでは50%であり、全体としては、5年生存率が6.8%と、他の癌と比較して著しく低い。

早期の膵臓がんは自覚症状がほとんどない。適切な検診システムが無いため、医療機関への受診はがんが進行(=症状が出現)してからの例がほとんどである(74.5%)。

膵臓がんを、早期に画像で見つけるのは、たやすいことではない。膵臓の特徴は、奥まった位置にある、他臓器や血管に接している。

2cm未満の膵臓がんで、膵臓がんマーカーであるCA19-9は46.8%では正常範囲である。

味の素株式会社が下記の技術を開発した。膵臓がんの早期発見に有用であるが、ランクCに入る被験者は、86人に1人が膵臓がんである確率であり、膵臓がんのリスクが11.6となる。

血中アミノ酸濃度バランスを指標とした膵臓がんの早期発見技術を開発

http://www.ajinomoto.com/jp/presscenter/press/detail/2014_10_07.html

Plasma Free Amino Acid Profiling of Five Types of Cancer Patients and Its Application for Early Detection

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0024143

新規実施項目のお知らせ(SRL)

https://www.srl.info/srlinfo/srlnews/2015/pdf/2015-28.pdf

  • 男性 AICS(5種) ●女性 AICS(6種)

「アミノインデックス技術」を用いたがんリスクスクリーニング検査に、新たな解析対象として「膵臓がん」を追加いたしました。

健常者における血液中のアミノ酸濃度は、それぞれ、一定に保たれるようにコントロールされていますが、がん患者では一定に保たれている血液中のアミノ酸濃度のバランスが変化することが報告されています。

AICS®(エーアイシーエス)は、血液中のアミノ酸濃度を測定し、健常人とがん患者のアミノ酸濃度のバランスの違いを統計的に解析することで、現在がんに罹患しているリスクを評価する検査です。

このたび、新たな解析対象に早期発見が課題とされる「膵臓がん」を加え、より広いがん種を一度に検査できるようになりました。

  • 各AICS®の解析対象となるがん種

男性AICS(5種):胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がん

女性AICS(6種):胃がん、肺がん、大腸がん、膵

この検査だけで、24000~25000円もするので非常に高いが、下記のリスクを有する対象者にはお勧めである。とくに中年以降の元相撲力士は今後、必須の検査項目になるであろう。

A Novel Multivariate Index for Pancreatic Cancer Detection Based On the Plasma Free Amino Acid Profile

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0132223

膵臓がんの危険因子

http://www.jsge.or.jp/citizen/2010/kyusyu.html

2.生活習慣と膵がん

A.膵がん発症と環境要因

1)家族歴

膵がんの家族歴がある率は4.8%、家族内発がんは6.0%。

遺伝性膵炎、家族性大腸腺腫ポリポージスなど(遺伝性膵がん症候群)。

2)喫煙

日本では約11万人を対象とし、平均8.1年追跡調査をした研究(The JACC Study)で、非喫煙者と比較して喫煙者の膵がん発症の相対危険度は男性で1.6倍、女性で1.7倍。膵がんでは禁煙により膵がんの発症危険率が低下。膵がんの発症危険率が男性では禁煙後1~9年、10~19年、20年以上でそれぞれ、1.41、0.85、0.84であり、10年以上禁煙すれば危険率は低下。

3)飲酒

酒を飲むと顔が赤くなりやすい人が、日常的に飲酒しながら喫煙すると、膵がんの発症相対危険度が、酒は飲むが非喫煙者の約10倍になる。アルコールを体内で分解する能力は主に、ALDH2というアルコールを分解する酵素の型で決まります。膵がんが発症した104人の調査で、酒は飲めるが分解する力が弱い型の人が55人もいました。また、その55人のうち日常的に飲酒しながら喫煙していた人は19人でした。つまり、酒は弱いが飲酒習慣があり喫煙する人は、膵がんの危険度は10倍でした。一方、酒に強い酵素を持つ人でも、飲酒と喫煙両方の習慣があると危険度は3倍でした。

4)コーヒー

日本でのThe JACC Studyでは、1日3杯未満のコーヒーは膵がん発症危険度を低下させる傾向を認めています。コーヒー飲用者は喫煙者が多く、喫煙が膵がんリスクを増加させるため、見かけ上コーヒーが膵がんリスクを増加させるという誤った関連を観察してしまうため、喫煙者と非喫煙者に分けても検討されていますが同様の結果でした。しかし、1日4杯以上コーヒーを飲む人では膵がん死亡リスクが増加し、特に男性では危険度が3.2倍と報告されています。

5)肥満・運動

肥満は膵がんの発症危険率を増加させると報告されています。その機序は、膵がんのリスクファクターである糖尿病の基礎病態である耐糖能障害や高インスリン血症と関連すること、肥満者では脂質過酸化による膵でのDNA損傷が増加することが挙げられています。日本での研究では、青年期の男性でBody mass index (BMI*:肥満指数)が30以上の肥満では、肥満が無い男性に比べ危険率が3.5 倍増加しており、青年期の肥満は日本人の男性での膵がん死亡リスクに強く関連しています。一方、女性ではBMIが高い群は正常群に比べ60%危険率が増加すると報告されています。欧米の報告では、BMI 30以上と25以下と膵がん発症危険率を比較検討すると、前者で1.81倍増加したとの報告があります。

*BMIの算出方法 BMI = 体重[kg] ÷ 身長[m] ÷ 身長[m]

6)食事  生活習慣の中で食事要因と膵がん発症リスクの関連は強いと考えられていますが、疫学的調査の結果は一致せず、食事の影響は不明です。しかし、肉類(特に薫製、加工肉)・脂肪の過剰摂取はリスクを上昇させ、野菜・果物(ビタミンC・食物繊維)の摂取は低下させ、予防的に働くと考えられています。その他、コレステロールの過剰摂取は膵がん発症リスクを増加させると報告されています。

B.膵がん発症と疾患要因

慢性膵炎、糖尿病、膵嚢胞性腫瘍、遺伝性膵炎を合併する人には膵がんの発生が多いと報告されています。また、ヘリコバクターピロリ感染でもリスクの増加が報告されています。ここでは、膵がん患者の既往症で頻度が高い糖尿病と慢性膵炎に注目します。

1)糖尿病

糖尿病の経過観察中に血糖コントロール不良になった症例や高齢で初めて糖尿病を発症した人には膵がんが含まれることは良く知られています。また、膵がんでは糖尿病が高頻度に発症します。膵がんの既往歴では糖尿病が25.9%と高頻度であり、糖尿病歴を有する男性では膵がんの相対発症リスクが2.1倍、女性では1.5倍であったと報告されています。また、米国では膵がんの糖尿病合併率が60~80%と報告されています。さらに、多くの報告で糖尿病が膵がん発症リスクを約2倍増加させることが示されています。一方、糖尿病罹患期間と発症リスクを検討した報告では、10年以上の糖尿病歴がある人は膵がんの発症リスクが50%増加しますが、膵がん発症の前1年以内の糖尿病発症も30%認められています。このことは、糖尿病は膵がんの合併症でもありますが、膵がんの危険因子であることを明確にしています。

2)慢性膵炎

厚生労働省難治性膵疾患調査班で施行された慢性膵炎患者の予後および死因に関する調査において、慢性膵炎患者の死因の43.1%ががんであり、その中で最も多いのが膵がんの21.7%でした。慢性膵炎患者の標準化死亡比(SMR)は1.56、悪性新生物によるSMRは2.01と一般集団よりも有意に高率でした。特に膵がんによるSMRは最も高率で7.33であった(表1)。男性が8.07、女性が4.36であり、男性で高率であった。これより、慢性膵炎患者の膵がんによる死亡比は期待値の7倍程度と考えられ、慢性膵炎は膵がん発症リスクが最も高い疾患といえる。ただし、慢性膵炎の成因はアルコール性が多く、さらに喫煙の生活習慣の患者が多いこと、また膵性糖尿病の合併という疾患要因も加わっており、慢性膵炎患者の膵がん発症リスクが高率であると考えられる。

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