アマゾン書評


下記は僕がアマゾン書評に投稿したものだ。引用データは少し古いが。

宇多田ヒカルファン

この著書の帯に、「子宮を掘り続ければ」と記載があるが、聞き間違いである。

「村中璃子は授賞式でも、北海道大学の産婦人科医が「子宮を掘る」と発言したとして言及しており、これに対して北海道大学産婦人科医局によれば、当人は「とる」と発言したのであり、「掘る」では北大産婦人科が女性への敬意を欠いているとして名誉毀損、信用既存が起こるおそれがあるとして、事実関係を表明した」(ウィキペディアから引用)
→村中璃子氏による正式な謝罪表明は必要です。

「10万個の子宮」というセンセーショナルなタイトルをつけているが、この数値は明らかに虚偽の数字。以下はがん情報サービスからの統計から数値を引用、計算したものである。
2013年の子宮頸がん患者数:HPVワクチンと関係ない40歳以上の患者8228人を計算に入れて、10万個と記載している。20-29歳は373人、30-34歳は760人。15歳前後にワクチン接種し、ワクチン効果が70%と仮定すると、10年で約8000個。12倍以上の数値の水増し。

なお、2016年の子宮頸がんによる死亡者数:20-24歳は2人、25-29歳は15人、30-34歳は48人、35-39歳は106人、出産可能年齢で171人。40-49歳は422人、50-59歳は454人、60-69歳は487人、70-79歳は511人、80歳以上は665人。40歳以上で2539人。総計2710人。

子宮頸がん検診の有用性を一言追加すべきであった。有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン:定期的検診により子宮頸がん死亡率を最大80%まで減少。10年間の観察で検診を受けた人が40%以上の高実施地区では子宮頸がん死亡率が63.5%減少、検診を受けた人が10%台の地区では子宮頸がん死亡率は33.3%の減少に留まっている。

裁判記録から
「HPVワクチンの緑色に光った部分に自らわざわざ「白丸」を付けて強調し、「サーバリックスだけに自己抗体沈着あり」というキャプションをわざわざつけ、あたかもワクチン接種によりマウスに脳障害が発生したかのようにスライドを改変し原告池田修一には 「捏造」の意図がある。」
→研究発表するときに、発表する内容のポイントを聴衆にわかりやすくプレゼンするのに、キャプションを付けるのは常識。また、大学の調査委員会はねつ造はなしと最終結論を出している。

名古屋市調査に関する論文に対する批判
HPVワクチン非接種群で24症状のうち、メインアウトカムの発症率と永続的、一定的症状の率のオッズ比が1未満、かつ信頼区間が1未満は3,12,15,17,18の5つあり、病者が多いことを意味する。特に過換気、簡単な計算遂行能力欠如、基礎的漢字記憶能力消失など。→非接種群に病者が多くバイアスあり。特に病者除外バイアスの影響が大きいのは、cohort1の1996年生まれ。HPVワクチン接種率が84.3%、健康な女子が多く接種している。非接種群は15.7%と少なく、この群には病者が多いため、バイアスが出ていると解釈される。

祖父江班の評価
祖父江班の資料は名古屋市調査より質が高い。後者は対象女性へのアンケート調査。前者は担当医師へのアンケート調査。複数のバイアスがあるため有意差検定を施行していないと言っているが本当は施行していると僕は確信している。HPVワクチンの積極的勧奨の再開ができないような結果だったと推測する。

祖父江班の追加資料、p15、p42参照を。認知機能障害について有意差検定を示していないが明らかにHPVワクチン接種群で認知機能障害が多い。名古屋市調査の鈴木論文の解析結果とは逆の結果である。鈴木論文は病者除外バイアスの扱いが不適切。

国がワクチンの積極的勧奨をWHOや関連学会の数回の勧告にも関わらず、再開できない理由は何?

祖父江班の疫学調査が期待された結論を出せなかったからだ。多様な症状(1つ以上)を有する患者がワクチン接種群で非接種群と比べて約30%多い。6つ以上では約79%多い。10個以上では約3倍も多い。バイアスがあるため、有意差検定をしていない。因果関係には言及せずに、ワクチン非接種群にも多彩な症状を有する患者が一定数存在したというミスリーディングな結論を発表した。

鹿児島大学の研究を批判しているが、最近、下記の手紙のやりとりが日本神経治療学会誌で公開された。
Letter to the Editorが、大阪大学 上田豊、木村正先生から鹿児島大学の髙嶋博先生あてに送られた。(神経治療34: 471, 2017)
それに対する髙嶋博先生のReplyが真摯に患者に向き合っている医師として素晴らしい内容であり、感銘を受けた。
Letter to the Editor: Reply
「日本人のためにどうしてもHPVワクチンが必要なのであれば、再開に際して、真の意味の診療体制を整えること、少女たちの病態を解明して、どのような人に起こりやすいのか、またそれぞれにあった治療法を開発することが重要で、その上で今後のワクチンの再開を考えるべきと思います。」
「この案件での大きな問題は、免疫性機序の関与の可能性が否定できない状況下で、心因性機序を大きく取り上げて、それを中心に議論や対策がなされてきたことであり、そのことで多くの患者の治療が遅れたことを大変不幸なことであったと思います。」

村中璃子氏は自分の主張に都合の悪い部分は紹介していない。あとがきで下記の論文のごく一部のみを記載していた。

国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターの高橋幸利先生のグループの素晴らしい研究、基礎実験報告の総説。世界に先駆けて、HPVワクチン接種後にみられる中枢神経系関連症状の解析と実験モデルでの検討。Editorialを書かれた山村隆先生は自己免疫学の権威。新病態の認知を意味する。(ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん)ワクチン接種後にみられる中枢神経系関連症状、日本内科学会雑誌106:1591-1597, 2017)

「症状のある多くの症例が髄液の免疫学的変化を主体とした生物学的変化を有していた。また、それらの生物学的変化は、症状を説明し得るものであった。丁寧な問診、適切な検査と専門医への紹介、患者の病態理解を援助し、将来への希望を失うことがないように、医療者は患者を支援していきたい。」

村中璃子氏は池田氏らの研究を批判し、「ワクチン接種と患者の症状を裏づける科学的指標が存在しないと海外からも批判の声がすぐに上がった。」
→著書では自分の主張に会うような意見を述べる医師を匿名で書き信頼性が低い。

池田教授らのDrug Safetyの論文を批判。

「患者120人を対象とする、解析に耐える規模を持たない小集団での研究」。
Dalmauらの卵巣奇形腫に伴う脳炎は4例、その後、12例で抗NMDA受容体抗体が同定。世界各国からの症例100人を集め症例観察研究を行い、この新規疾患は確定した。村中璃子氏の批判は見当間違い。

RCTのエビデンスレベルの高い治験のみ検討し、症例観察研究はレベルが低いとして、却下している。HPVワクチンによる副反応の発生頻度は低く、約0.09%であり、RCTでの数百人~数千規模の小数例の検討ではシグナルの発見は困難であり、症例観察研究が重要である。
RCTの治験計画では、placeboとして、inactive placeboである生理食塩水を使用している研究は非常に少ない。ほとんどのplaceboでは、アルミニウムアジュバントを含んでいて、治験群と有意差が出にくくなっている。現在の基準では多彩な症状を判定することはできない。単一症状で検討しているだけ。多数の症例観察研究が重要である。

参考文献:
1.Ogawa Y et al. Safety of HPV vaccines in healthy young women: a meta-analysis of 24 controlled studies, J Pharmaceutical Health Care and Sciences 3:18, 2017
Table1参照。対象数4千人未満は20件と規模が小さい(100~500人未満は9件、500~1000人未満は4件、1000~2000人未満は5件、2000人~3000人未満は1件、3000人~4000人未満は1件、5000人以上は4件(5,762人、6004人、12,167人、18,644人)。
2.黒岩義之ほか:ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:その病態仮説 神経内科 85:567-581,2016
3. Sawada M et al. HPV vaccination in Japan: results of a 3-year follow-up survey of obstetricians and gynecologists regarding their opinions toward the vaccine. Int J Clin Oncol (2017).
産婦人科医調査、推奨再開を61.0→73.6%, 娘接種、0 → 16.1%(5/31)。微増、反対1/4。阪大産婦人科の論文では産婦人科医の娘に対し31人中5人しか接種していない。前回の論文では自分の娘にHPVワクチンを接種しない理由が書かれていた。今回の論文では26人が接種していないがその理由もワクチンの積極的勧奨に賛成なのかどうかの記載が欠如している。阪大産婦人科関連の医師の調査。31人中、26人の娘には注射していない。万が一、自分の娘に副反応が起こるかもと思うと打てないだろう。しかも、WHOの勧告、祖父江班の結果を知っていても、約25%がHPV ワクチン接種の推奨再開に反対している。
4. 祖父江班資料の42ページの図。症状を1つのみの症例を除いて計算すると、HPVワクチン接種群で2つ以上の症状を有する人数/非接種群の同様の数=20.58/11.86=1.735, 接種群で73.5%も多い。
5. 中村祐輔のシカゴ便り
中村教授はHPVワクチンの有用性を認めているが、副反応の存在も認めている。
「しかし、私は一部の研究者が指摘するような、被害者が訴えている痛みをこのワクチンと関係ないと認める立場には立たない。他のワクチンでも同様な症状があるとか、ワクチン非接種者でも同様の痛みがあるとかを指摘してみたところで、問題の解決にはならない。今、痛みで苦しんでおられる方々の心を傷つけるだけであり、本当の解決には、科学的な解析と痛みからの解放が不可欠だ。免疫反応が関係しているなら、ワクチン接種前後で、どのような免疫状態の変化が起こっているのか、科学的に調べれば何らかのヒントが得られるはずだと思っている。すでに痛みを訴えている方たちにも、協力していただくことも不可欠だ。なぜ、前向きな解決策が提案できないのか、おかしな国だ。」
6. Aratani S et al. Murine hypothalamic destruction with vascular cell apoptosis subsequent to combined administration of HPV— Scientific Reports 6, Article number: 36943, 2016
先日、この論文は不当にも撤回の決定がなされた。マウスEAEモデル作成に百日咳毒素を使用するのは確立された方法。高容量のガーダシルの投与は、まれな副反応を検出するために許容されるし、過去のHPV-L1蛋白のマウス実験モデルでも同量が投与されていた。
7. 荒田仁,髙嶋博:ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫脳症の範疇から.神経内科85:547-554, 2016
脳SPECT異常や皮膚生検表皮内神経線維密度の有意な低下,抗ガングリオシド抗体,抗ganglionic nicotinic acetylcholine receptor抗体,髄液抗GluR抗体の検出は既知の事実の報告あり。
「本邦ではHPVワクチンの積極的推奨を止めてから,ほとんど接種が行われておらず,おそらく未接種群からは患者の新規の発症はないと推定される.かって本邦の薬害難病と解決し得たSMONの原因追究の際に,キノホルムを中止して新規の発症がなくなったのと同じ現象が起こっているのではないかと考えている.」
「また,ワクチン接種後に苦しんでいる患者の現実から目をそらし,上述した統計を駆使し,HPVワクチン接種推進を目標とする医師による,患者や家族,診療・研究チームへの誹謗中傷は限度を超えるものがある.」
「伝統的な神経徴候の捉え方からのパラダイムシフトが必要であるし,実際に苦しんでいる患者の本質を追及しようとせずに目を背けてしまっている診療姿勢を改める必要もある.現実に重い症状で困っている患者は数百人にのぼっている.」
「本疾患の主病態は脳炎・脳症と考えられ,神経内科医は意味のない誹謗中傷に負けることなくしっかりと患者に向き合って,神経学会全体で病態を解析し完治させるべく努力すべきである.」
8. Kinoshita T et al: Peripheral sympathetic nerve dysfunction in adolescent Japanese girls following immunization with the human papillomavirus vaccine. Intern Med. 53: 2185–2000, 2014
9. Hirai T, et al. Adverse effects of human papilloma virus vaccination on central nervous system: Neuro-endocrinological disorders of hypothalamo-pituitary axis. Autonomic Nervous System 53:49–64, 2016.
10.高畑克徳、高嶋博:自己免疫性脳症を見きわめるための新しい神経診察の提案-
身体表現性障害との鑑別-、神経治療 33 9-18, 2016
11. Takahashi Y, et al: Immunological studies of cerebrospinal fluid from patients with CNS symptoms after human papillomavirus vaccination. J Neuroimmunol 298: 71-8, 2016.
12. Matsudaira T et al: Cognitive dysfunction and regional cerebral blood flow changes in Japanese females after human papillomavirus vaccination. Neurology and Clinical Neuroscience 4: 220–227, 2016
13. Safety Concerns with HPV Vaccines Continue to Linger: Are Current Vaccine Pharmacovigilance Practices Sufficient? Drug Safety 40: 1167–1170, 2017
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神経内科専門医 neurologist
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