HPVワクチン接種後神経障害について:中日新聞医療取材班へ


中日新聞医療取材班(iryouhan@chunichi.co.jp)

初めまして、HPVワクチン接種後神経障害について情報を収集している脳神経内科医です。最近、いろいろなことが明らかになってきました。参考にしてください。

下記のブログ記事も参照してください。

ニューロドクター乱夢随想録
https://marugametorao.wordpress.com/

1.日本における、HPVワクチン副反応の研究の成果

●池田修一先生らの研究について

Kinoshita T et al: Peripheral sympathetic nerve dysfunction in adolescent Japanese girls following immunization with the human papillomavirus vaccine. Intern Med. 53: 2185–2000, 2014
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/53/19/53_53.3133/_article/-char/ja/

池田修一先生らのこの論文は、世界で初めてHPVワクチン副反応の症例研究を報告したものである。この論文に対して、日本内科学会に下記の3通のclaim letterが発せられ、手紙が学会誌に投稿され、議論があった。

Philip Castle, Ryo Konno, Xavier Bosch. Human Papillomavirus (HPV) Vaccination: Just the Facts. Internal Medicine. 2015, Vol.54, No.14, p.1829.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/54/14/54_54.4533/_article

Tomomi Kinoshita, Shu-ichi Ikeda. Human Papillomavirus (HPV) Vaccination: Just the Facts. Internal Medicine. 2015, Vol.54, No.14, p.1831.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/54/14/54_54.4805/_article

Sharon J.B. Hanley, Kevin G.J. Pollock, Kate Cuschieri. Peripheral Sympathetic Nerve Dysfunction in Adolescent Japanese Girls Following Immunization with the Human Papillomavirus Vaccine. Internal Medicine. 2015, Vol.54, No.15, p.1953.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/54/15/54_54.4479/_article

Tomomi Kinoshita, Shu-ichi Ikeda. Peripheral Sympathetic Nerve Dysfunction in Adolescent Japanese Girls Following Immunization with the Human Papillomavirus Vaccine. Internal Medicine. 2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/54/15/54_54.4644/_article

Julia M.L. Brotherton, Kristine K. Macartney, Etsuko Miyagi, et al. Human Papillomavirus (HPV) Vaccination Safety Assessment: The Methods Matter. Internal Medicine. 2015, Vol.54, No.19, p.2531.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/54/19/54_54.4643/_article

Tomomi Kinoshita, Shu-ichi Ikeda. Human Papillomavirus (HPV) Vaccination Safety Assessment: The Methods Matter. Internal Medicine. 2015, Vol.54, No.19, p.2533.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/54/19/54_54.4876/_article

Drug Safet 2017, Volume 40, Issue 12, pp 1219–1229
Suspected Adverse Effects after Human Papillomavirus Vaccination: A Temporal Relationship between Vaccine Administration and the Appearance of Symptoms in Japan
https://link.springer.com/article/10.1007/s40264-017-0574-6

池田先生らの論文は下記の総説に引用されている。

Svetlana Blitshteyn, Louise Brinth, Jeanne E. Hendrickson, Manuel Martinez-Lavin: Autonomic dysfunction and HPV immunization: an overview. Immunologic Research 2018, Volume 66, Issue 6, pp 744–754
https://link.springer.com/article/10.1007/s12026-018-9036-1

池田先生らの研究成果のまとめが下記の総説に書かれている。必読!

池田 修一:子宮頸がんワクチン接種後の副反応:わが国の現状
昭和学士会雑誌78 巻 (2018) 4 号 303-314
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/78/4/78_303/_article/-char/ja/

3回目のワクチン接種で発症する患者が半数を占める。ワクチン接種の積極的勧奨が中止されてから、新規の副反応疑い患者は出ていない。このことはワクチン接種と特異な症状との因果関係を示唆する。

●HANS研究グループ

黒岩義之ほか:ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:その病態仮説 神経内科 85:567-581,2016
HANSという新規の疾患概念が形成された経緯と病態仮説が詳細に記載されている。最近では、その仮説を支持する研究成果も発表されている。視床下部障害は複数の施設からの発表で示唆されている。

「HPVワクチン接種後神経障害」のプライマリーな病態は視床下部機能の障害。
視床下部病変による症候学: 1.自律神経症候、2.内分泌症候、3.アレルギー症候、4.認知情動症候、5.意識障害 6.感覚症候、7.運動症候

「HPVワクチン接種後神経障害」は脳室周囲器官の障害から始まる。

解剖学的診断:視床下部・辺縁系ネットワークの神経内分泌攪乱
病因論的診断:HPVワクチン接種後に生じた血管内皮・血液脳関門の慢性障害
視床下部を首座に置く脳室周囲器官、別名「脳の窓」は4大ドメインである自律神経・内分泌・炎症系、運動神経系、感覚神経系、認知情動神経系と密接な神経ネットワークを構成している。

病態生理:
1.第三脳室周囲の脳室周囲器官、別名「脳の窓」における血管内皮細胞とグリア・センサー細胞ネットワークの障害、
2.視床下部・辺縁系ネットワークのシナプス・受容体機能障害
症候の流れ
4大ドメインからなる慢性進行性の神経内分泌攪乱症候
1.ワクチン接種から30日未満に発症ピークを示した自律神経症候、睡眠・内分泌・炎症症候
2.情動症候、痛みは「脳の窓(脳室周囲器官)」に近い「視床下部」の障害によると解釈される。
3ワクチン接種から30日以上、6カ月未満に発症ピークを示した認知症候、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・体性感覚症候は「脳の窓」から少し遠い「視床下部と辺縁系ネットワーク」の障害によると解釈される。
4ワクチン接種から6カ月以上、1年未満に発症ピークを示した運動・ロコモーション症候は「脳の窓」からさらに遠い「視床下部と前頭側頭運動野のネットワーク」の障害によると解釈される。

Hirai T, et al. Adverse effects of human papilloma virus vaccination on central nervous system: Neuro-endocrinological disorders of hypothalamo-pituitary axis. Autonomic Nervous System 53:49–64, 2016.

下記は最新の総説:今までの研究成果がまとめられている。必読!
教育講演 5
ヒトパピローマウイルスワクチン接種後に生じる副反応の科学的解明 ―自然史,他覚的検査所見,ワクチンの諸問題―
平井 利明, 黒岩 義之
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/56/3/56_93/_article/-char/ja/

●鹿児島大学、髙嶋博先生らの研究

Letter to the Editor:大阪大学 上田豊、木村正 神経治療34: 471, 2017

大阪大学産婦人科の上田豊先生が鹿児島大学の髙嶋博先生あてにLetter to the Editorを投稿した。HPVワクチンについて興味を持つ全ての方に必読の内容です。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/34/4/34_471/_pdf/-char/ja
Letter to the Editor: Reply 鹿児島大学 髙嶋博

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/34/4/34_472/_pdf/-char/ja
Letter to the Editor: Reply

「日本人のためにどうしてもHPVワクチンが必要なのであれば、再開に際して、真の意味の診療体制を整えること、少女たちの病態を解明して、どのような人に起こりやすいのか、またそれぞれにあった治療法を開発することが重要で、その上で今後のワクチンの再開を考えるべきと思います。」

「この案件での大きな問題は、免疫性機序の関与の可能性が否定できない状況下で、心因性機序を大きく取り上げて、それを中心に議論や対策がなされてきたことであり、そのことで多くの患者の治療が遅れたことを大変不幸なことであったと思います。」

荒田仁,髙嶋博:ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫脳症の範疇から.神経内科85:547-554, 2016
脳SPECT異常や皮膚生検表皮内神経線維密度の有意な低下,抗ガングリオシド抗体,抗ganglionic nicotinic acetylcholine receptor抗体,髄液抗GluR抗体の検出あり。

「本邦ではHPVワクチンの積極的推奨を止めてから,ほとんど接種が行われておらず,おそらく未接種群からは患者の新規の発症はないと推定される.かって本邦の薬害難病と解決し得たSMONの原因追究の際に,キノホルムを中止して新規の発症がなくなったのと同じ現象が起こっているのではないかと考えている.」

「また,ワクチン接種後に苦しんでいる患者の現実から目をそらし,上述した統計を駆使し,HPVワクチン接種推進を目標とする医師による,患者や家族,診療・研究チームへの誹謗中傷は限度を超えるものがある.」

「伝統的な神経徴候の捉え方からのパラダイムシフトが必要であるし,実際に苦しんでいる患者の本質を追及しようとせずに目を背けてしまっている診療姿勢を改める必要もある.現実に重い症状で困っている患者は数百人にのぼっている.」

「本疾患の主病態は脳炎・脳症と考えられ,神経内科医は意味のない誹謗中傷に負けることなくしっかりと患者に向き合って,神経学会全体で病態を解析し完治させるべく努力すべきである.」

今年(2019年)の日本神経治療学会の優秀演題;発生から8年が経過したHPVワクチン接種後の神経障害に関する病態と疫学に関する研究

荒田仁、髙嶋博
59名、90%以上で頭痛、四肢体幹の疼痛、70%以上で全身倦怠感、30%以上で高次機能障害や精神症状、70%以上に自律神経症状、脱力、50%以上で睡眠障害。測定した患者の38%で何れかの抗ガングリオシド抗体陽性、27%で抗体gAChR抗体が陽性。髄液抗Glu-R抗体は測定した80%以上に陽性。SPECTでは70%以上で大脳皮質や帯状回の血流低下。脳MR、髄液一般検査は正常。治療はIAPP(血漿吸着療法)が最も有効であり、33例中15例で著効した。患者では有意に高頻度で自己抗体が検出されており、免疫療法が奏功する例が多くみられ、自己免疫的な機序が想定された。疫学的には新規発生はH27年からは極端に減少傾向があり、ワクチン接種数との関連を認めた。
結論:患者の症状は慢性的な視床下部障害が主体であり、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎と類似の臨床型を示していた。病態はワクチン接種による自己免疫的な脳内慢性炎症が原因の可能性がある。
ほかの論文には、下記のようなものがある。

高畑克徳、高嶋博:自己免疫性脳症を見きわめるための新しい神経診察の提案-
身体表現性障害との鑑別-、神経治療 33 9-18, 2016

牧 美充, 髙嶋 博:BRAIN and NERVE 69巻10号 1131-1141, 2017年
総説 自己免疫性脳症のスペクトラムとびまん性脳障害の神経症候学

下記が最新の総説→必読!
シンポジウム10:脳炎・脳症・脊髄症の新たな展開
ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経症状は,なぜ心因性疾患と間違われるのか
髙嶋 博
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/35/4/35_536/_article/-char/ja/

●国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター高橋幸利先生のグループ

世界に先駆けて、HPVワクチン接種後にみられる中枢神経系関連症状の解析と実験モデルでの検討。Editorialを書かれた山村隆先生は神経免疫学の権威。新病態の認知を意味する

ヒトパピローマウィルス(子宮頸がん)ワクチン接種後にみられる中枢神経系関連症状、
日本内科学会雑誌106:1591-1597, 2017
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/8/106_1591/_article/-char/ja/

下記の論文の解説が日本語で書かれている。

Takahashi Y, et al: Immunological studies of cerebrospinal fluid from patients with CNS symptoms after human papillomavirus vaccination. J Neuroimmunol 298: 71-8, 2016.
Matsudaira T et al: Cognitive dysfunction and regional cerebral blood flow changes in Japanese females after human papillomavirus vaccination. Neurology and Clinical Neuroscience 4: 220–227, 2016

池田らが報告したと同様の変化が脳血流シンチで明らかになった。
脳血流検査:認知機能低下17例;辺縁系関連領域で有意な血流低下。FSIQは右半球内側前頭回・直回、VIQは右半球梁下回・直回・左半球視床、PIQは右半球内側前頭回血流低下。内側前頭野は感情コントロールや行動の抑制的統御に関与、血流低下→認知機能障害、情動と関連した症状。

脳神経障害は16例(50%)、聴覚障害やめまいが多かった。知覚障害は11例(34%)、感覚障害、痺れ、掻痒、味覚障害が多かった。その他には、過換気症候群、心因性非てんかん発作、不安障害、睡眠障害、失神が多かった。

中枢神経系関連症状:因果関係は確定できないが、32症例の発病年齢は15.0±1.5歳で、初回接種後9.4±8.1カ月であった。認知機能障害は26/32(81%)、運動機能障害24例(75%)に認められ、歩行障害、突然の脱力による転倒、ミオクローヌスや振戦等の不随意運動が多かった。
患者背景:39例中7例(17.9%)喘息→Th2シフトしやすい素因の存在、成育歴:精神的ストレス体験(長期に亘るいじめなど)18例(46%)→ストレスによる免疫細胞の脳への移動が気分や行動に影響→強度のストレス体験の有無の聴取は神経免疫病態の関与を疑うきっかけとなる。

高橋幸利先生の総説の図の一番右下の項目に注目。HPVワクチン接種後神経障害として、心因性非てんかん発作の記載あり。黒岩義之先生の総説でも、偽発作が起こりうることが記載されている。このような症状が出現しても心因性とは断定できない。

「症状のある多くの症例が髄液の免疫学的変化を主体とした生物学的変化を有していた。また、それらの生物学的変化は、症状を説明し得るものであった。丁寧な問診、適切な検査と専門医への紹介、患者の病態理解を援助し、将来への希望を失うことがないように、医療者は患者を支援していきたい。」

2.観察症例研究について

WHOは、RCTのエビデンスレベルの高い治験のみ検討し、症例観察研究はレベルが低いとして、検討から却下している。HPVワクチンによる副反応の発生頻度は低く、約0.1~0.05%であり、RCTでの数百人~数千規模の小数例の検討ではシグナルの発見は困難であり、症例観察研究が重要である。

RCTの治験計画では、placeboとして、inactive placeboである生理食塩水を使用している研究は非常に少ない。ほとんどのplaceboでは、アルミニウムアジュバントを含んでいて、治験群と有意差の検出が困難となっている。

現在の基準では多彩な症状を判定することはできない。単一症状で検討しているだけ。多数の症例観察研究が重要である。

最新のコクランレビューを公開した、Arbynらは下記のように述べている。

Careful population-wide surveillance of HPV vaccine effectiveness
(targeting also incidence of HPV-related cancers) and safety (including also rare conditions such as neurologic and auto-immune syndromes) should be set up by linking vaccination, cervical cancer screening, and morbidity registries.
Review

Efficacy and safety of prophylactic HPV vaccines. A Cochrane review of randomized trials

クリックしてarbyn2018exprevvaccines.pdfにアクセス

3.Chandler(pharmacovigilanceの専門家)の池田修一先生らの副反応論文に対するコメント

Safety Concerns with HPV Vaccines Continue to Linger: Are Current Vaccine Pharmacovigilance Practices Sufficient? Drug Safety 40: 1167–1170, 2017
https://link.springer.com/article/10.1007/s40264-017-0593-3

彼女は、adversomics(ワクチン副反応学)を紹介している。個別化医学の確立が望まれる。

There is an emerging field within vaccinology called adversomics, which acknowledges the fact that AEFI may be individually determined as there is interindividual variation in vaccine responses based on differences in innate immunity, microbiomes, and immunogenetics
Poland GA, Ovsyannikova IG, Jacobson RM. Adversomics: the emerging field of vaccine adverse event immunogenetics. Pediatr Infect Dis J. 2009; 28(5):431–2.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2843136/

Chandlerはまた、下記のように述べている。

Furthermore, autoantibodies to G protein-coupled receptors in the nervous system, such as β2-adrenergic and muscarinic-2 receptors have been isolated from two subjects in the US [25, 26] and in a large proportion of a sample of patients in Denmark (Mehlsen J, unpublished data). A recent systematic review details the evidence to support a role of such autoantibodies in syndromes of orthostatic intolerance, including POTS [27]. Autoantibodies to these receptors have also been previously linked with CRPS [28] and CFS [29]. This pathophysiology could explain the pattern of symptomatology that has been consistently described in the multiple case series reported, as well as the variety of diagnostic labels used by reporting physicians. Taken together, these findings may indicate that vaccination has served as a trigger for manifestation of an underlying autoimmune disorder in genetically predisposed individuals. Continued research may lead to identification of subgroups at risk of autonomic dysfunction whose considerations for HPV vaccination might be different from those who are not.

上記に述べられている、抗β2-adrenergic and muscarinic-2 receptor抗体は最近、池田先生らのグループが、HPVワクチン接種後神経障害患者で有意に増加していることを報告した。

Autoantibodies against Autonomic Nerve Receptors in Adolescent Japanese Girls after Immunization with Human Papillomavirus Vaccine

In the present study, we investigated autoantibodies against diverse G protein coupled receptors in the serum of girls who complained of possible adverse effects after HPV vaccination. Fifty five girls with HPV vaccination and 57 girls without HPV immunization were enrolled in the study. The serum levels of autoantibodies against the adrenergic receptors α1, α2, β1and β2, muscarinic acetylcholine receptors 1, 2, 3, 4, 5; and endothelin receptor A was significantly elevated in girls with HPV vaccination, compared with those in the controls. The serum levels of these autoantibodies tended to decrease with the time course of the illness, but there was no statistically meaningful association between the clinical symptoms and elevated serum levels of these autoantibodies. This preliminary study provides evidence that post-vaccination abnormal autoimmunity plays an important role in the development of unique symptoms after HPV vaccination.

なお、池田修一先生を誹謗中傷している村中璃子氏は、池田教授らのDrug Safetyの論文を次のように批判した。
「患者120人を対象とする、解析に耐える規模を持たない小集団での研究」。

Dalmauらの卵巣奇形腫に伴う脳炎は4例、その後、12例で抗NMDA受容体抗体を同定。世界各国からの症例100人を集め症例観察研究を行い、この新規疾患は確定した。村中璃子氏の批判は臨床医学研究の王道を否定するものであり、見識を疑う。

Chandler RE et al: Current Safety Concerns with Human Papillomavirus Vaccine: A Cluster Analysis of Reports in VigiBase®. Drug Safety
http://link.springer.com/article/10.1007/s40264-016-0456-3

また、ChandlerはWHOの副反応が疑われる国際データベースを使用し、クラスター解析という方法でHPVワクチンの副反応について調べた。伝統的な方法では個々のシグナル(情報薬学・計量理薬学の専門用語:今まで知られていなかった、または根拠が不十分であった有害事象と医薬品の因果関係の可能性に関する情報)に頼っていた。4つのクラスターの中で一番多い副反応は、頭痛、めまいと疲労、または失神であった。この組み合わせの報告が、非HPVワクチン接種の9~25歳女性と比較して、HPVワクチン接種群で不釣り合いに多いかを検証した。
PRR (Proportional Reporting Ratios)
596/45,780 HPV patients (1.3%), 175/32,839 non-HPV patients (0.53%;他のワクチンを接種している患者);PRRは、2.44倍であった。日本とデンマークの症例を除いても2.28倍であった。HPVワクチン後の症候群は単一症状ではなく、複数の症状が組み合わさって、出現している。

また、Chandlerは下記の提言を報告している。

Analysis
Modernising vaccine surveillance systems to improve detection of rare or poorly defined adverse events
BMJ 2019; 365 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l2268 (Published 31 May 2019)
https://www.bmj.com/content/365/bmj.l2268.full

Key messages
◾The difficulty in assessing alleged serious harms from HPV vaccines shows weaknesses in current vaccine pharmacovigilance
◾New data analysis approaches such as machine learning and systems immunology may allow us to improve monitoring of vaccine safety
◾Such approaches will also advance knowledge of individual variation in immune responses
◾Improving vaccine pharmacovigilance is essential to improving the public trust in vaccine policy

4.疫学研究に対する評価

●鈴木貞夫論文に対する評価について
Table3
HPVワクチン非接種群で24症状のうち、メインアウトカムの発症率と永続的、一定的症状の率のオッズ比が1未満、かつ信頼区間が1未満は3,12,15,17,18の5つあり、病者が多いことを意味する。特に過換気、簡単な計算遂行能力欠如、基礎的漢字記憶能力消失など。→非接種群に病者が多いバイアスあり。特に病者除外バイアスの影響が大きいのは、cohort1の1996年生まれ。HPVワクチン接種率が84.3%、健康な女子が多く接種している。非接種群は15.7%と少なく、この群には病者が多いため、バイアスが出ていると解釈される。

薬害オンブズパースン会議と鈴木貞夫先生との間で議論が交わされた。

No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study

クリックしてns_Nagoya%20Stduy_Papillomavirus%20Research2018.pdfにアクセス

「名古屋市子宮頸がん予防接種調査」に関する鈴木貞夫論文についての見解

クリックしてOpinion%20against%20Suzuki%20paper%20on%20Nagoya%20Study.pdfにアクセス

「『名古屋市子宮頸がん予防接種調査』に関する鈴木貞夫論文についての見解(2)-鈴木教授による「回答」について-」

クリックしてHPVnagoyachousa_suzukironbun_kenkai.pdfにアクセス

最近、Nagoya studyに関する、鈴木論文の結論とは異なるYajuらの論文が公開された。鈴木論文だけが、ワクチン推進派に喧伝されているが、反対の結果が出ている。

Safety concerns with human papilloma virus immunization in Japan: Analysis and evaluation of Nagoya City’s surveillance data for adverse events
Yukari Yaju, Hiroe Tsubaki
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jjns.12252

論文の和訳
Japan Journal of Nursing Science (2019) doi:10.1111/jjns.12252
原著論文
日本におけるHPVワクチンの安全性に関する懸念: 名古屋市による有害事象調査データの解析と評価

クリックしてJJNS_Yaju_et_al_2019_Japanese_translation.pdf.pdfにアクセス

学会誌で鈴木貞夫氏と議論があり。編集長は鈴木氏の論文の撤回要求を下記のごとく拒否した。

Letter to the editor: Safety concerns with human papilloma virus immunization in Japan: Analysis and evaluation of Nagoya City’s surveillance data for adverse events
Sadao Suzuki
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jjns.12258

Authors’ response to letter to the editor: Safety concerns with human papilloma virus immunization in Japan: Analysis and evaluation of Nagoya City’s surveillance data for adverse events
Yukari Yaju, Hiroe Tsubaki
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jjns.12275

Editor’s Reply to the Letter to the Editor of Dr. Suzuki
William L. Holzemer
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jjns.12282

また、薬学疫学が専門の浜六郎氏の見解は下記のリンクを参照してください。

鈴木論文はHPV ワクチンの害を示す

クリックしてNo77-f07.pdfにアクセス

HPV ワクチン接種後の症状とワクチンとの関係
鈴木らの名古屋市調査論文はむしろワクチンの害を示している
NPO 法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)
浜 六郎

クリックしてNo177-bessi.pdfにアクセス

なお、別府らによる下記の総説があり。

別府宏圀、水口真寿美、打出喜義、ほか:日本におけるHPVワクチン有害反応の教訓:医療倫理学的観点

クリックしてLessons_learnt_in_Japan_from_adverse_reactions%20_to_the_HPV_vaccine_a_medical_ethics_perspective_IJME2017_Japanese_version.pdfにアクセス

要約 ヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチンは多数の重大な有害反応との関係が論じられている。その症状は多彩で長期間にわたって重層的に現れる。HPVワクチンの有効性・安全性を巡る議論には以下のような欠陥が見落とされている。即ち、(i)自己免疫疾患の遺伝的基本が考慮されていないため、そのことを配慮していない議論はワクチンの安全性を保証することにならない、(ii) HPVには免疫回避の機序があるので、HPVワクチンが有効に働くためには長期間にわたって異常に高い抗体価の維持が必要であることを無視している、(iii) HPVワクチンの効果は限られている、等である。本稿ではまた、ワクチンの開発・宣伝・販売の過程で生じたさまざまな問題、および有害事象のモニタリングや疫学的検証に関して遭遇する落とし穴に関しても検討を行う。

●祖父江班追加解析結果の評価

祖父江班の資料は名古屋市調査より質が高い。後者は対象女性へのアンケート調査。前者は担当医師へのアンケート調査。複数のバイアスがあるため有意差検定を施行していない。もし、有意差検定を行えば、HPVワクチンの積極的勧奨の再開ができないような結果だったと推測する。

祖父江班の追加解析結果、p15、p42を参照してください。認知機能障害について有意差検定を示していないが、明らかにHPVワクチン接種群で認知機能障害が多い。名古屋市調査の鈴木論文の解析結果とは逆の結果である。

10以上の有訴率は、ワクチン非接種群で5.3人/10万人、ワクチン接種群で15.6人/10万人で約3倍となる。祖父江班は、『症状の数を10以上に限っても「A群:接種歴なし」の有訴率は10万人当たり5.3人であり、ゼロではない』とした。

この結論はミスリーディングである。当初は祖父江班の結論が出たら、ワクチンの積極的勧奨が再開されるのではないかと予測していたが、結果は上記のごとくで厚労省は再開を躊躇せざるを得なかった。

クリックして0000161352.pdfにアクセス

他の参考文献:
1.Ogawa Y et al. Safety of HPV vaccines in healthy young women: a meta-analysis of 24 controlled studies, J Pharmaceutical Health Care and Sciences 3:18, 2017

Table1参照。対象数4千人未満は20件と規模が小さい(100~500人未満は9件、500~1000人未満は4件、1000~2000人未満は5件、2000人~3000人未満は1件、3000人~4000人未満は1件、5000人以上は4件(5,762人、6004人、12,167人、18,644人)。
https://jphcs.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40780-017-0087-6

2.Sawada M et al. HPV vaccination in Japan: results of a 3-year follow-up survey of obstetricians and gynecologists regarding their opinions toward the vaccine. Int J Clin Oncol (2017).

産婦人科医調査、推奨再開を61.0→73.6%, 娘接種、0 → 16.1%(5/31)。微増、反対1/4。阪大産婦人科の論文では産婦人科医の娘に対し31人中5人しか接種していない。前回の論文では自分の娘にHPVワクチンを接種しない理由が書かれていた。今回の論文では26人が接種していないがその理由もワクチンの積極的勧奨に賛成なのかどうかの記載が欠如している。

阪大産婦人科関連の医師の調査。31人中、26人の娘には注射していない!万が一、自分の娘に副反応が起こるかもと思うと打てないのだろう。しかも、WHOの勧告、祖父江班の結果を知っていても、約25%がHPV ワクチン接種の推奨再開に反対している。

日本産婦人科学会に上記の会員調査を実施するように、ある産婦人科医に依頼したが、音沙汰なし。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5809565/
Egawa-Takata, et al. Survey of Japanese mothers of daughters eligible for human papillomavirus vaccination on attitudes about media reports of adverse events and the suspension of governmental recommendation for vaccination. J Obstet Gynaecol Res. 2015; 41:1965–1971. doi: 10.1111/jog.12822.
https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jog.12822

3. 中村祐輔のシカゴ便り
中村教授はHPVワクチンの有用性を認めているが、副反応の存在も認めている。
「しかし、私は一部の研究者が指摘するような、被害者が訴えている痛みをこのワクチンと関係ないと認める立場には立たない。他のワクチンでも同様な症状があるとか、ワクチン非接種者でも同様の痛みがあるとかを指摘してみたところで、問題の解決にはならない。今、痛みで苦しんでおられる方々の心を傷つけるだけであり、本当の解決には、科学的な解析と痛みからの解放が不可欠だ。免疫反応が関係しているなら、ワクチン接種前後で、どのような免疫状態の変化が起こっているのか、科学的に調べれば何らかのヒントが得られるはずだと思っている。すでに痛みを訴えている方たちにも、協力していただくことも不可欠だ。なぜ、前向きな解決策が提案できないのか、おかしな国だ。」

http://yusukenakamura.hatenablog.com/entry/2017/08/29/072057

4. Aratani S et al. Murine hypothalamic destruction with vascular cell apoptosis subsequent to combined administration of human papilloma virus administration and pertussis toxin. Scientific Reports 6, Article number: 36943, 2016

この論文は公開後、1年半後に不当にも撤回の決定がなされた。マウスEAEモデル作成に百日咳毒素を使用するのは確立された方法。高容量のガーダシルの投与は、まれな副反応を検出するために許容されるし、過去のHPV-L1蛋白のマウス実験モデルでも同量が投与されていた。

このことについては、sivadさんのブログに明快な論評が発表されている。

HPVワクチン副反応マウスモデル論文の不当な撤回問題について

世界的にHPVワクチン接種推進ネットワークがあり、HPVワクチンの副反応を研究する論文が発表されると、すぐに会議を開催して、claim letterをジャーナルのeditorに贈る。この動きが功を奏した例がこの論文の撤回である。ワクチン副反応研究を妨害する動きは世界中で起きている。CSIS (Center for Strategic and International Studies)は日本のHPVワクチンに関する詳細な報告書を、MDSのスポンサーで公開している。

日本におけるHPV ワクチン接種状況: 問題と選択肢 Rose Wilson,Pauline Paterson,Heidi J. Larson 2014 年5 月

クリックして140605_Wilson_HPVVaccination_Japanese_Web.pdfにアクセス

日本におけるHPVワクチン接種状況 続く議論と世界的な影響
Pauline Paterson Jeremy Chiu William Schulz Heidi Larson

クリックして150622_Wilson_HPVJapan_Japanese_Web.pdfにアクセス

Leonard F. Vernon. How Silencing of Dissent in Science Impacts Woman. The Gardasil® Story. Advances in Sexual Medicine, 2017, 7, 179-204
http://www.scirp.org/journal/PaperInformation.aspx?paperID=80023

和訳:大部分の医者が理解していないのはワクチン接種の議論をシャットダウンするように援助する巨大製薬企業によって、知らず知らずに勧誘されていることである。学者の間でさえ、ワクチン反対の抑制は当たり前になっていて、反対する科学やこれと共にくる危険性を沈黙させるすべりやすい斜面に導く。ワクチンの安全性を疑う人々は、問題に関する多数意見を持つ人々により、追放され、誤って引用され、精神障害があるようにさえさせられた。ワクチンの安全性を疑う医者は医師免許が脅かされたり、失職させられたりした。名前呼び出しや似非科学(広く認められた査読ジャーナルから、エビデンスが発表された時でも)や、9/11のtruthers(「真実」を主張する人)のようなグループのカテゴリーに少数意見を持っている人々を置く効果を持つ“陰謀理論家”のような言葉を使用する戦術はまれではない。ワクチンに反対する見解の発表を奪う方法は、反ワクチン賛同者が会場に現れるのを許可しないように圧力、メディアを使い、反ワクチングループを“狂気じみた人”として、“さらす”こと、一方では同時に多数派の意見を発表し、発表者は問題に関する唯一の権威者として。プロワクチングループのより過激な要素として、問題は解決済みであり、議論の必要性はないという声明でさえ出すであろう)

5. 狂犬病ワクチン接種後脳症:白木博次博士(「冒される日本人の脳より」藤原書店

「一方ワクチン禍の脳型 (cerebral form) では、注射が終ってから数週後、または180日のような長いintervalをおいて、発熱はほとんどないのに、各種の精神神経症状をきたすが、それは脳や脊髄の損傷にもとづくものである。」

ワクチンと脳障害との因果関係の立証のために、白木四原則が提唱され、裁判での立証に実際に適用された。

子宮頸がんワクチン副反応例で白木四原則は適用されるのか(筆者の意見)?

①ワクチン接種と予防接種事故とが、時間的、空間的に密接していること
(子宮頸がんワクチン副反応例ではほとんどがこれを満たしている)

②他に原因となるべきものが考えられないこと
(まぎれこみ疾患が除外されている)

③副反応とその後遺症(折れ曲がり)が原則として質量的に強烈であること
(学業や生活に影響を長期に及ぼしている)

④事故発生のメカニズムが、実験・病理・臨床などの観点からみて、科学的・学問的に実証性や妥当性があること
(Inbarら、Arataniら動物実験があり。自律神経障害を呈する症例で、皮内神経線維密度の低下、small fiber neuropathyがみられる。特異的な自己抗体がみられるなど。脳SPECTにて特有な血流低下が見られ、髄液検査にて、特有な免疫学的異常が見られる、臨床例には一定の症状パターンがある。クラスター解析を行った疫学調査でHPVワクチン特有の神経症状の組み合わせが見出されたなど。)

の4つを組み合わせて、その蓋然性の高低の視点から、ワクチン禍の有無を考える。

4番目については、追試実験や症例の蓄積と検討がさらに必要であるが、蓋然性は高いと推定される。

6. 接種の積極勧奨を再開させてはならない 子宮頸がんワクチン接種被害事件をめぐって
前札幌学院大学教授 井上 芳保
http://gendainoriron.jp/vol.11/rostrum/ro02.php

医師たちはHPVワクチンをどれくらい知っているのか 「子宮頸がんワクチン接種被害事件」のその後を追う 日本社会臨床学会運営委員 井上 芳保
http://gendainoriron.jp/vol.21/rostrum/inoue.php

7.平岡厚:HPVワクチン(子宮頸癌予防ワクチン)の副作用の問題について-文献調査から見えて来ること

クリックしてjournal23_hiraoka.pdfにアクセス

続報
https://drive.google.com/file/d/0B9RQ9swYc-zUNGlibDZpLUdhWU9pSEl1dG5vMGNsUEJBcGNZ/view

8.子宮頸がん検診受診率について 2017 p214
フランス 75.4% 日本42.1%
フランスの子宮頸がん罹患率は、6人/10万人、日本は15人/10万人。

厚労省の検診受診率の目標は50%。日本での受診率が倍増すれば、子宮頸がんの罹患率は半減するのでは?検診にて罹患率は70%削減、HPVワクチン併用にて90%減少すると言われている。

クリックしてcancer_statistics_2017_app_J.pdfにアクセス

なお、熊本大学産婦人科教室の子宮頸がん検診の取り組みは非常に参考になり、各自治体は学ぶべきである、市町村と企業と連携による普及活動の展開などと、熊本大学薬学部・保健学部・医学部の学生が「K発プロジェクト」を立ち上げ、互いの連携により情報の共有を図り、地元メディアも参加し、これらの活動を報道した。12年前と比べて、検診受診率は、20-24歳:2.8→30.7%、25-29歳:6.0→63.8%、30-34歳:15.6→79.4%、35-39歳:16.9→70.7%、40-44歳:30.8→78.8%

(熊本大学医学部保健学科)子宮頸がん検診啓発ビデオ

第60回日本人間ドック学会シンポジウム1 働く世代のがん対策
熊本県における子宮がん検診の向上のための取り組み:2006年ショックから12年間を振り返る 片渕秀隆
128ページを参照してください。

クリックしてdock34_2.pdfにアクセス

9.Kanduc D, Shoenfeld Y: Human Papillomavirus Epitope Mimicry and Autoimmunity: The Molecular Truth of Peptide Sharing. Pathobiology 2019
https://doi.org/10.1159/000502889
https://www.karger.com/Article/Abstract/502889

Lethal immunoglobulins: Autoantibodies and sudden cardiac death
Autoimmunity Reviews Volume 18, Issue 4, April 2019, Pages 415-425
Autoimmune mechanism is proposed for cardiac-related adverse reactions following human papillomavirus (HPV) vaccination. The pentapeptid sharing between HPV’s antigens, adrenergic receptors and muscarinic acetylcholine receptors supports this assumption.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1568997219300370

HPV-L1蛋白とヒトの多種多様な蛋白ペプチドの間の分子相同性が感受性のある個体に自己免疫疾患を誘発する可能性が議論されている。

10.Occurrence of human papillomavirus (HPV) type replacement by sexual risk‐taking behaviour group: Post‐hoc analysis of a community randomized clinical trial up to 9 years after vaccination (IV) International J Cancer Volume145, Issue3 1 August 2019 Pages 785-796

Among the vaccinated 18‐year‐olds, HPV51 occurrence was overall somewhat increased (PRcore = 1.4, PRnon‐core. = 1.4) whereas the HPV52 occurrence was increased in the core‐group only (PRcore = 2.5, PRnon‐core = 0.8). Among the non‐HPV vaccinated 18‐year‐olds, the HPV51/52 PRs were higher in the core‐group (PRcore = 3.8/1.8, PRnon‐core = 1.2/1.1). The 22‐year‐olds yielded no corresponding observations. Monitoring of the sexual risk‐taking core‐group may detect early tendencies for HPV type replacement.

HPV型変異(非HPVハイリスク型)がHPVワクチン接種と関係なく性的活動が活発な女性に観察された。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ijc.32189

この論文を引用した総説では、

One of the most recurrent questions regarding the prophylactic vaccine is whether HPV vaccination will result in the occupation of a newly vacant ecological niche by non-targeted HPV types. This hypothesis has been referred as “type replacement. ” To date, the available data do not support this hypothesis. However, as reported in recent studies, a few types (i.e., HPV51 and 52) may need to be monitored after vaccination.
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fonc.2019.00355/full
Review ARTICLE
Front. Oncol., 08 May 2019 | https://doi.org/10.3389/fonc.2019.00355
Mucosal and Cutaneous Human Papillomavirus Infections and Cancer Biology

最後に

僕は、いわゆる反ワクチンではない。HPVワクチンの副反応の多さを懸念している。インフルエンザワクチンの数十倍の副反応発生率だ。

(子宮頸がんワクチン…安全性評価 論争絶えず

子宮頸がんワクチン…安全性評価 論争絶えず

そこで、私の提言を述べる。

1. 副反応の発生時に安心して受診できる医療機関の態勢(脳神経内科と精神科の連携が必要)を整えること。池田先生の研究班が今年度から調査研究を開始している。

2. 現状では、副反応の認定は、ワクチン接種後、1ヶ月以内とされている。池田ら、西岡ら、高橋ら、髙嶋らの臨床研究によると、最初のワクチン接種後、1年以上経過してから発症する例があり。ワクチン接種は現状では3回接種となっている。最終接種から、1年以内の副反応も認められるべきだ。20年以上も、HPV-L1蛋白に対する免疫反応が持続するため、途中で何らのトリガーが作動し、自己免疫疾患が誘発される可能性があり。

3. 小学6年から中学3年まで思春期を避けた方が良いのでは。思春期は不安定な時期で、自己免疫疾患が発生しやすい。できたら、高校入試が終了した、高校1年生が適切かもしれない。なぜならば、高校生在学中に性活動を開始する者が約30%いるからだ。

4. なお、成人となる、18歳に接種するのが僕の理想とする年齢だ。それまでは性活動を控えてほしい。大人だから、自分で判断できる。無料ではなく、一部負担が良いだろう。

(僕は、岡部信彦氏の下記の意見に近い:
「HPVは性感染 性行動の個人差や接種時の痛みに配慮を

定期接種A類は、最終的な本人または保護者の意思は尊重されるので、強制接種や義務的接種ではありません。しかし、国・自治体はできるだけ受けてもらえるように努力をする必要があります。極端なことを言えば、接種率100%近くを目指します。
しかしHPVは性行為でうつるウイルスですから、個人の性行動や年齢などによって、感染のタイミングについては非常に個人差のあるウイルスと言えます。年齢を一律に決めて一斉に勧めるというより、もっと個人の意見を反映できるようにした方がいいのではないでしょうか。
また、自分で判断ができる大人になってから接種をする、しないを決められるよう、対象の年齢幅をもっと広げても良いのではないかと思います。
個人の意思を強く反映できるようにするには、定期接種であればB類の方が私は妥当だと思います。
しかし今、A類からB類に変更すれば、ワクチンを受けようとする人の費用負担は増え、万一の際の救済の費用もA類より少額となります。この点は「A’」などのように、AとBの中間的な分類を特別に作ってもよいのではないでしょうか。
接種回数も日本では3回としていますが、HPVワクチンは筋肉注射なので痛みが強く、心身への負担は大きいとされています。WHOは、15歳以下では2回接種でも効果ありとしているので、国内でもこのような方法を検討すべきではないかと思います。
つまり、HPVワクチン再開(接種勧奨の再開)といっても、そっくりそのまま積極的な勧奨が中止された2013年6月以前の状態に戻すわけではなく、いくつかの変化を加えていく必要があると思います。
大慌てで元の状態に戻し、接種率の向上と維持を直ちに目指すことなく、スローペースでも構わないと思います。」(引用終了)

https://www.buzzfeed.com/jp/nobuhikookabe/okabe-hpvv-2

5. ワクチン接種前後1週間は激しいスポーツを避けること。運動量の多いアスリートに副反応が出やすいとの報告がある。

(1. 局所的な神経の活性化により血液脳関門における免疫細胞のゲートが形成される:中枢神経系の血液脳関門に存在する免疫細胞の通過するゲートが局所的な神経刺激により形成されることが明らかになった.定常状態では重力刺激にともなうヒラメ筋の活性化が第5腰椎の背側の血管内皮細胞に交感神経を経由するノルアドレナリンの発現を誘導し,IL-6アンプの活性化を亢進させ多くのケモカインを誘導していることがわかった.
http://first.lifesciencedb.jp/archives/4397

2. Louise Brinth et al. Suspected side effects to the quadrivalent human papilloma vaccine, Danish Med J 2015; 62(4):A5064
Based on the IPAQ-SF questionnaire, 67% had a high and 33% had a moderate activity level before symptom onset. Five patients had a very high activity level and were competing on a national or international level in their sport.

Denmarkでは日本と同様の多様な症状を呈している。

クリックしてbab0f6fa0d288eb538c541fce0fa17496f8d.pdfにアクセス

PS:追加の文献

PS:追加の文献

1.Varvara A. Ryabkova et al. Neuroimmunology: What Role for Autoimmunity, Neuroinflammation, and Small Fiber Neuropathy in Fibromyalgia, Chronic Fatigue Syndrome, and Adverse Events after Human Papillomavirus Vaccination?  Int. J. Mol. Sci. 2019, 20(20), 5164

https://www.mdpi.com/1422-0067/20/20/5164

Fibromyalgia is a disorder characterized by chronic widespread pain and non-pain symptoms, such as fatigue, dysautonomia, and cognitive and sleep disturbances. Its pathogenesis and treatment continue to be the subject of debate. We highlight the role of three mechanisms—autoimmunity, neuroinflammation, and small fiber neuropathy—in the pathogenesis of the disease. These mechanisms are shown to be closely interlinked (also on a molecular level), and the review considers the implementation of this relationship in the search for therapeutic options. We also pay attention to chronic fatigue syndrome, which overlaps with fibromyalgia, and propose a concept of “autoimmune hypothalamopathy” for its pathogenesis. Finally, we analyze the molecular mechanisms underlying the neuroinflammatory background in the development of adverse events following HPV vaccination and suggesting neuroinflammation, which could exacerbate the development of symptoms following HPV vaccination (though this is hotly debated), as a model for fibromyalgia pathogenesis

  1. Romain K. Gherardi et al. Myalgia and chronic fatigue syndrome following immunization: macrophagic myofasciitis and animal studies support linkage to aluminum adjuvant persistency and diffusion in the immune system. Autoimmunity Reviews Volume 18, Issue 7, July 2019, Pages 691-705

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1568997219301090

Highlights

ME/CFS is multifactorial but Al-containing vaccines may constitute a trigger.

ME/CFS may be associated with intracellular Al adjuvant persistency assessed by MMF.

Animal models revealed dissemination and neurotoxic effects of Al adjuvants.

Al adjuvant toxicokinetics and long-term safety now need appropriate investigations.

Identification of susceptibility genes, co-factors and safer adjuvants is underway.

3. A. Fedorowski. Postural orthostatic tachycardia syndrome: clinical presentation, aetiology and management. 285; 352-366, 2019

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/joim.12852

First, the predominance of women and temporal association with an antecedent viral infection, vaccination or trauma are similar to the typical features of autoimmune disease.

4. Yahel Segal1 and Yehuda Shoenfeld. Vaccine-induced autoimmunity: the role of molecular mimicry and immune crossreaction. Cell Mol Immunol. 2018 Jun; 15(6): 586–594.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6078966/

While considered effective in preventing infection, the vaccines raised fervent debates across the scientific community with regards to their safety profile, and specifically their suspected association with the development of autoimmune phenomena. Whereas some studies present no association between HPV vaccines and autoimmune adverse events, others have addressed the significant limitations of many of these analyses. The answer remains largely disputed, yet the attention drawn to HPV may be responsible for some intriguing discoveries regarding potential molecular mimicry between HPV and human proteins. In two comprehensive analyses Kanduc et al. exposes vast peptide overlap between peptides of HPV to the human proteome, thus laying the grounds for further research regarding HPV and autoimmunity. As with influenza and HBV, the potential for immune crossreactivity upon infection led to concern of a similar effect, which may be induced by vaccination with viral particles.

5. Jill R. Schofield, and Jeanne E. Hendrickson. Autoimmunity, Autonomic Neuropathy, and the HPV Vaccination: A Vulnerable Subpopulation. Clinical Pediatrics 57: 603-606, 2017

https://sa1s3.patientpop.com/assets/docs/55323.pdf

It would seem prudent for patients who develop new persistent headaches, fatigue,

presyncope, tachycardia, gastrointestinal symptoms, and/ or limb pain or weakness after the first vaccination to avoid subsequent doses. Further studies aimed at defining the atrisk phenotype and/or genotype are warranted, given the devastating clinical outcome of severe, long-term disability and even death of some affected by the HPV vaccination syndrome.

6. A Case with XXXX Syndrome Who Was Incidentally Diagnosed during Examination for Suspected Post-Human Papillomavirus Vaccination Syndrome. Case Reports in Clinical Medicine, 2019, 8, 239-244紛れ込み疾患の報告、考察は読む価値があり。

  1. https://www.scirp.org/journal/paperinformation.aspx?paperid=94875

http://blog.with2.net/link.php/36571 ブログランキングに登録しています

marugametorao について

脳神経内科専門医 neurologist
カテゴリー: 神経内科医, 神経学, 健康, 医学, 未分類 パーマリンク

コメントを残す