腸内生態系の微調整:人工マイクロバイオーム治療薬の現状と展望


The Lancet Gastroenterology & Hepatology

Volume 9, Issue 5, May 2024, Pages 460-475

SeriesFine-tuning the gut ecosystem: the current landscape and outlook of artificial microbiome therapeutics

https://doi.org/10.1016/S2468-1253(23)00357-6

要約

腸内細菌叢はヒトの健康を決定する重要な因子であると認識されており、過去20年間の技術進歩により、その組成や機能、ヒト疾患における役割の解読が可能となった。 したがって、腸内マイクロバイオームの操作は、伝染性疾患および非伝染性疾患に対する有望な治療選択肢として浮上してきた。 現在のマイクロバイオーム治療薬(プロバイオティクス、プレバイオティクス、糞便微生物叢移植を含む)の完全な利用は、精度の低さ、規制や安全性の問題、再現性のある標的治療の不可能性など、いくつかの要因によって妨げられている。 人工微生物叢治療薬(微生物叢コンソーシアム、バクテリオファージ、細菌代謝産物、人工プロバイオティクスなど広範な製品が含まれる)は、安全で再現性のある効果を約束し、さまざまな経路を介したさまざまなレベルの精度を持つことから、現在の微生物叢調節薬の進化形として登場してきた。 すでに上市されているものからパイプライン段階にあるものまで、人工マイクロバイオーム治療薬の現状を説明し、これらの治療薬を臨床に位置づけるための主な課題を概説する。

はじめに

過去20年間で、腸内細菌叢はヒトの健康を決定する重要な因子として認識されるようになり、健康と疾患における基本的な機能を持つようになった1。技術と研究モデルの進歩により、腸内細菌叢の構造と機能に関する重要な発見が可能になった。 腸内細菌叢は、ゲノム配列決定ツール(主に16S rRNA遺伝子配列決定や全ゲノム配列決定)や、微生物産物の同定を可能にしたその他のオミックス(メタボロミクス、メタプロテオミクス、メタトランスクリプトミクスなど)など、いくつかの技術革新によってその特徴が明らかにされてきた3。 観察研究によって得られた間接的な関連性の手がかりだけでなく、メカニズムモデルもまた、健康や疾患における腸内細菌叢の因果的な役割を定義している3, 4。このような進歩に基づき、潜在的な治療オプションとして、様々な操作戦略によって腸内細菌叢を病的状態になる前の段階に回復させることに関心が集まっている。


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